出典:EMS World

メーデーを発信した後にすることは2つ。
a.そのまま現在位置で応援隊が到着するまで待機する
b.危機状態が緩和された場合、余裕があれば自力避難を試みる

なお、aの場合は、指令センターや現場指揮所からの状況確認無線に答えられるようマインドをしっかり保ち、bの場合は、どこからどこに移動するか、または、したのかを必ず告げる。

⑤ 無線以外のメーデー発信方法を訓練する。

・携帯ライトを開口部に向けて連続フラッシュさせたり、直線ビームを天井シーリングや壁に当てて、居場所を知らせる。隊員が複数居る場合は、それぞれに違う方法を使うことで発見確率を高める。
・持っている資機材の金属部分同士を叩いて、音を出し、自分の居場所そしらせる。
・対象物内の自動火災報知器や通話装置、監視カメラを使う、スプリンクラーヘッドを破壊する、感知器を発報させてもいい。
など
・携帯電話からのメーデー通信は、GPS情報によるピンポイントな場所の特定も可能なため、雪山での遭難や大規模な災害現場での捜索に役立たせることができるかもしれない。

⑥  濃煙内や閉所での空気呼吸器のボンベ交換方法、または、新しい呼吸器の装着方法。使用している空気呼吸器の仕組みにもよるのでそれぞれ研究しておく。特に面体へのアタッチメントを着脱する方法と新しい空気呼吸器を装着するための着脱の手順を訓練しておく。また、レスキューフィルターの装着法やタイミングも身につけておく。


Firefighter's Out-of-Air Emergency(出典:YouTube)

⑦    ヘッド・ファースト・ラダー・ベイルアウト(はしごによる緊急脱出)

 Firefighter Safety & Survival Head First Ladder Bail(出典:YouTube)

⑧  過去の至急報の録音データを集めて、どのような情報交信が行われ、対応し、その結果どうなったかを検証し、自分たちだったらそうするか?というシミュレーション・ワークショップを行う。できれば、現場指揮所を運営する中隊長以上と指令課職員も訓練に参加し、日頃から緊急事態の無線交信対応に慣れておくこと。

■実際のメーデー発信時の交信内容と具体的な情報伝達・訓練内容

Fire Ground Survival - Why We Train - Compilation II(出典:Youtube)

⑨ 各種災害に応じた、さまざまな緊急脱出方法、緊急待避方法などを研究し身につけておくこと。たとえば、火災現場の濃煙内でライフラインが絡まってしまい、前後左右、退路の方向などがわからなくなってしまった場合、ホースの結合部を触って、オス金具がある方向が退路の一つであることを確認できるようにしておくこと。

⑩日頃から緊急アラームの活用方法と携帯ライトや空気呼吸器などを含めた個人装備のメンテナンス、現場ごとのさまざまな消防設備の活用方法、個人装備のみで壁や工作物を破壊して脱出できるのに十分な開口部を作る方法なども研究し、実際に訓練して体で覚える。特に仲間の救出方法や自分の位置を知らせる訓練などは重要。


Firefighter Survival & Rescue - Intro Video(出典:YouTube)

いかがでしたか?

メーデー発信のコンセプトは大地震時の災害現場対策本部、東京オリンピックや大規模イベントで、数千人の人を落ち着いて避難させるための緊急対応、パニック予防などにも応用可能だと思います。

ここまで書いてきた内容はほんの一部ですが、もし、もっと詳しく研究されたい方、隊の教養訓練に活かしたい方は下記の消防士のバイブルである教科書を参考にされることをおすすめいたします。

「消防業務エッセンシャルズ」第12弾
『チャプター9 構造物内捜索、要救助者の搬送、ファイアーファイター・サバイバル~消防士が生き残るために~』

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もし、今回のメーデー受発信訓練や現場を想定して、フル装備で動きながらの実践的シミュレーションを体験されたい方は下記までご連絡ください。

一般社団法人 日本防災教育訓練センター 代表理事 サニーカミヤ
http://irescue.jp
メールアドレス:info@irescue.jp
電話:03-6432-1171

(了)