日本は、その位置や地形、気候などの自然条件から、地震、津波、豪雨などの災害が起こりやすい国土となっています。

中小企業の防災活動では、自社が自然災害の観点からどのような場所に位置しているかを理解することが重要です。これまで発生した自然災害の膨大なデータをもとに、それらの災害によってどれくらいの範囲に被害が及んだのか、またその被害の大きさはどれくらいであったのかを知ることができれば、効果的な災害対策を立てることができます。
 

概論編その3 ハザードマップはこう活用する

1.ハザードマップとは何か
(1)ハザードマップ
「ハザード(hazard)」は、「危険なもの」あるいは「有害なもの」という意味ですが、ハザードマップは地震、津波、豪雨などの自然災害が起こったときに予測される、被害の大きさとその被害が及ぶ範囲を「マップ(map)」に落とし込んだものです。

「地域防災計画ガイドライン」(平成26年3月、内閣府(防災担当))では、次のように定義されています。

【ハザードマップ】
ハザードマップとは、災害による被害を予測し、その被害範囲を地図化したものです。予測される災害の発生地点、被害の拡大範囲およびその程度、避難経路、指定緊急避難場所、指定避難所等の情報を地図上に図示します。災害発生時にハザードマップを利用することにより、地域住民らは、迅速・的確に避難を行うことが可能になります。

(2)ハザードマップの入手
ハザードマップは、多くの自治体の場合、その窓口やホームページで入手することができます。また、「国土交通省ハザードマップポータルサイト」(https://disaportal.gsi.go.jp/)は、各自治体が作成したハザードマップにリンクしており、さまざまな地域のハザードマップを閲覧することができます。

ハザードマップは、新たな情報に基づいて更新されることがありますので、定期的に確認することも必要です。

(3)ハザードマップで分かること
ハザードマップの形や様式は自治体によって異なりますが、一般的にはハザードマップの使い方やその地域で想定される災害の解説、そして災害発生時の避難場所など住民に役立つ情報が記載されています。

ハザードマップは災害の種類別に作成されますが、その主なものを押さえておきましょう。ただし、作成されるハザードマップはその地域で発生する可能性が高いものですから、例えば、内陸の自治体では津波ハザードマップは作成されません。