2019/09/13
インタビュー

台風対策にもなる無電柱化
Q:東京都地域防災計画震災編の修正では、女性視点以外にも、同じく知事が注力されている無電柱化や気候変動対応などの視点も取り入れました。
A:震災はいつやってくるか、どこで起こるかわかりません。いつも対応を心がけることがまず重要。そして建築物の耐震化を徹底すること。さらには特定緊急輸送道路の進路確保や不燃化を進めることも大事です。そういったことを総合的にまとめました。

無電柱化についてもう少し説明します。台風15号が首都圏を直撃したばかりですが、都内でも特に島しょ地域で停電やそれに伴う断水など被害が出ています。また、千葉県で送電の鉄塔や電柱が倒れたほか、倒木による断線も多発しました。災害時に重要な携帯電話・スマートフォンの充電ができなかったり、基地局の電力がなくなり停波したりといった事態も起こっており、防災の観点から無電柱化の必要性を今こそ多くの人が感じていらっしゃるのではないでしょうか。
「日本は地震国ゆえに電線類の地中化は難しい」とか「災害後の復旧は電柱の方が早い」という意見がありますが、そうではなく、停電防止のためにも地中化すべきなのです。コストが高いともいわれますが、政府において国土交通省、総務省、経済産業省といった関係機関が連携して研究・実験を進めていています。その結果、電線と通信線の距離をそこまで離す必要がないことも分かり、浅層埋設の導入といったコスト削減のための研究や技術革新が進みつつある状況です。今回の台風15号で、台風の通り道である島しょ地域こそ無電柱化を進めるべきであると改めて決意したところです。
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