「東京くらし防災」以外に水害対策として作られた「東京マイ・タイムライン」の活用も、小池知事は強く呼びかけている

東京都の小池百合子知事は12日、リスク対策.comの単独インタビューに応じ、都の防災政策について語った。7月に修正した東京都地域防災計画震災編の他、注力してきた女性視点の防災や無電柱化、30日まで「東京都一斉帰宅抑制推進企業認定制度」の企業募集を行っている帰宅困難者対策などを説明した。

液体ミルクの定着期待

Q:長きにわたり、知事は女性視点の防災に注力されています。

A:災害が起こると男女、子ども、高齢者、ペットに至るまで日常と全く違う生活下に置かれます。その中で、女性の視点というものは後回しにされがちでした。日本人女性はがまん強いところもありますが、災害がこれだけ頻発し、非日常にいきなり女性が置かれるとなると、子どもにも影響がありますし、介護などを担っている場合はさらに負担が増すことになる。そこで女性という観点から防災を考えようと思い、女性向けの防災ガイドブックである「東京くらし防災」を作成しました。さまざまな舞台で活躍する女性が、編集に携わっています。さらに東京都防災会議にも、これまでほぼいなかった女性委員が加わりました。

災害対策においては非日常を想定し、どういう対策をするべきかの心がけが必要で、市民の命を預かる行政として、さまざまな工夫をしなければなりません。その視点から実現したことの一つに、乳児用液体ミルクの導入があります。2011年の東日本大震災ではフィンランド在住の日本人女性の尽力で日本に運ばれましたが、通関などで難航し、私も厚生労働省とかけあいまして、なんとか被災地に届けられました。2016年の熊本地震でも被災地に届けられましたが、2018年の北海道胆振東部地震では都が支援物資として送った際に「キケン! 飲むな!!」という貼り紙もされ、活用されませんでした。しかし、ついに国内で製造・販売がされるまで至りまして、災害時に液体ミルクは活躍するという考えが今後は定着すると思います。