2019/09/10
インタビュー
ロンドン五輪後も攻撃増
2016年に英国政府が19億ポンド(約2500億円)をかけて発足させた英国サイバーセキュリティセンター(NCSC)。現在は1000人規模の職員がおり、脅威情報の把握などにあたっている。来日したNCSCの上級法執行調整官のダギー・グラント氏に英国のサイバーセキュリティ事情について話を聞いた。
NCSC設立の目的は「脅威情報を把握し各省庁に助言する、業界や学界と協力しインシデントに政府として対応する、組織保護のため秘密裏に集めた情報を生かすインテリジェンスコミュニティ」の3つだとグラント氏は語る。警察の他、軍や産業界、学界とも協力。組織間のコミュニケーションに注力している。複数の省庁でインシデントマネジメントチームを作り、対応にあたることもあるという。英国に対し仕掛けられた攻撃に対し、NCSCの知見や技術を生かして対応する「アクティブサイバーディフェンスプログラム」も開発した。
2012年にロンドンオリンピック・パラリンピックが開催され、英国政府や企業にも多くの攻撃があった。しかし「その後も攻撃は増加し続けた」とグラント氏は振り返り、NCSCの設置に至ったという。NCSCではサイバー攻撃をC1~C6に分類。「C1は国家レベルの危機。幸いまだ経験していないが、将来起こりうる」と警戒。年間だとC2は40~60件、C3は数百、C4は数千、C5とC6は何万と起こっているという。NCSCはC1~C3が起これば対応。C1にも対応するための演習を行っている。C4~C6は警察で対応する。
インタビューの他の記事
おすすめ記事
-
-
-
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2024/12/24
-
-
-
能登の二重被災が語る日本の災害脆弱性
2024 年、能登半島は二つの大きな災害に見舞われました。この多重被災から見えてくる脆弱性は、国全体の問題が能登という地域で集約的に顕在化したもの。能登の姿は明日の日本の姿にほかなりません。近い将来必ず起きる大規模災害への教訓として、能登で何が起きたのかを、金沢大学准教授の青木賢人氏に聞きました。
2024/12/22
-
製品供給は継続もたった1つの部品が再開を左右危機に備えたリソースの見直し
2022年3月、素材メーカーのADEKAの福島・相馬工場が震度6強の福島県沖地震で製品の生産が停止した。2009年からBCMに取り組んできた同工場にとって、東日本大震災以来の被害。復旧までの期間を左右したのは、たった1つの部品だ。BCPによる備えで製品の供給は滞りなく続けられたが、新たな課題も明らかになった。
2024/12/20
-
企業には社会的不正を発生させる素地がある
2024年も残すところわずか10日。産業界に最大の衝撃を与えたのはトヨタの認証不正だろう。グループ会社のダイハツや日野自動車での不正発覚に続き、後を追うかたちとなった。明治大学商学部専任講師の會澤綾子氏によれば企業不正には3つの特徴があり、その一つである社会的不正が注目されているという。會澤氏に、なぜ企業不正は止まないのかを聞いた。
2024/12/20
-
-
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方