災害時の食事で一番困るのは幼児と高齢者です。阪神・淡路大震災では、乾パンが硬くてのどを通らないということで、高齢者は水に浸して食べました。熊本地震では幼児の離乳食がなかったため、栄養士さんが鍋に米の粉を入れ野菜ジュースで溶かして加熱し、流動食にして食べさせました。災害時は水と熱源がなく、肝心の食べ物が手に入りにくい状況になります。どうすればよいでしょうか? 皆さんご一緒に本気で考えましょう。
9月1日の防災の日は、皆さんどんな取り組みをしましたか? 私の住む兵庫県芦屋市では芦屋大学のキャンパスを借りて総合防災訓練が行われ、テーマ別に29のブースを作って市民と対話をしました。食の分野では、「災害食グランプリ」が防災安全協会の企画で行われ、多くの人でにぎわいました。
災害時に高齢者や乳幼児が食べられるもの
屋外テントも設置しました。ここは私の出番です。せっかくの機会なので、私は「『食』・水がない~配慮のいる乳幼児、高齢者への対応」というテーマでのワークショップを開催し、熱も水も使わないで離乳食、高齢者食を作る方法を提案しました。それは、市販の離乳食やおやつ類を備蓄しておき、いざ災害というときには水と熱を全く使わずに食品同士を組み合わせるやり方です。参加者に実際に作っていただく体験コーナーも設けました。
この体験コーナーでは、1)普通の大人向け、2)乳児向け、3)幼児と高齢者向け、の3つのジャンルを用意し、訪問客にはそれぞれに自作自演で挑んでもらいました。家族連れの場合、父親は1)へ、幼児と母親は2)へ、祖父母は3)へ、とそれぞれ分かれて位置についていただき、1回目が終わったら選手交代。災害時さながらの気迫を感じることができました。ここで基礎問題を会得して、応用問題は自宅で挑戦してほしいと考えています。災害は応用問題ですから……。災害食への関心の強さが伺われました。
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