生活になじむ防災対策!

筒井さんによれば、「今の防災倉庫は、もともとジムの更衣室だったところ。各階の備蓄倉庫は、小さな棚をうまく利活用して倉庫にしています。ジムが使われる様子を見ていても、利用される方は、家から運動する格好で来て、そのまま帰るから更衣室の必要性は特にありませんでした。なので、男女兼用の更衣室を一つ残し、もう一つの更衣室は思い切って防災備蓄倉庫にしたのです」とのこと。

ジムの更衣室一室が防災備蓄倉庫に生まれ変わり。空間の有効活用

さらに筒井さんは、「また各階の備蓄倉庫は、隙間にファイルでマニュアルを入れたりとか、場所をとりすぎないけど大事なものはきちんと収納をして空間を有効活用しています。輪番制で各階のフロア委員を決めていて、その方がさっと取り出せるように安否確認のシートや各階のフロア委員がわかるようにビブス(写真左のピンク色のビブスがたたんで収納されている)も入れています」と各階の細かい工夫を説明しました。

隙間空間を活用して整理整頓し、災害時に必要なものを収納している

すでにあるマンションの空間を有効活用して、今ある資源でどのような備えができるか…ということを徹底的に考え抜かれ、実践されていました。

新しい技術も導入!

「このマンションのみで見ることができる館内放送である、各世帯のテレビの3チャンネルに合わせると、実施した訓練の内容などが動画で見られるようになっています。災害時は、非常情報をテロップで流すことも計画されています。回覧板で回すような催しの開催情報などもこのチャンネルで確認できるようになっているのです。新技術導入でインターネットから情報を取りに行くことに慣れていないシニア世代、回覧板を読み込むことに慣れていない子育て世代、どの世代にとっても情報を得やすい映像を活用して、マンション内の情報共有に挑戦しています」と筒井さんは話します。

「防災委員の任期は2年ですが、より多くの人に関わってもらうために防災委員だけでなく任期1年輪番制のフロア委員も決めています。防災委員とフロア委員を輪番制にすることで、各フロアの皆さんが防災に対して関心を持ってもらえるようになります。すると自然と会話が生まれて、知り合いになっていくんですよね、各階で」というように、人のつながりづくりは仕組みがきっかけとなり、深めていくのは人と人の力なんだなと実感するお話を蓮見さんが語ってくださいました。

新しい技術の導入、より多くのマンション住民が関わる機会の創出など生活に即した方法で取り組みは進められていきました。