第11回:BCPの文書の成り立ちについて
ドキュメント構成と行動ステップを押さえよう
BCP策定/気候リスク管理アドバイザー、 文筆家
昆 正和
昆 正和
企業のBCP策定/気候リスク対応と対策に関するアドバイス、講演・執筆活動に従事。日本リスクコミュニケーション協会理事。著書に『今のままでは命と会社を守れない! あなたが作る等身大のBCP 』(日刊工業新聞社)、『リーダーのためのレジリエンス11の鉄則』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『山のリスクセンスを磨く本 遭難の最大の原因はアナタ自身 (ヤマケイ新書)』(山と渓谷社)など全14冊。趣味は登山と読書。・[筆者のnote] https://note.com/b76rmxiicg/・[連絡先] https://ssl.form-mailer.jp/fms/a74afc5f726983 (フォームメーラー)
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■BCP文書の3つの構成
「計画書」と名前のつく社内文書は多々あるが、BCP(事業継続計画)というドキュメントは、他の社内文書に比べて今ひとつ形が捉えにくいと感じている人も少なくない。例えば○○製品開発計画とか○○プロジェクト計画書といったものは、アイデンティティがはっきりしている。しかしBCPは、一見すると規定文や指示書のようでもあるし、防災マニュアルや業務手順書のようでもある。
今回は、そうしたアイデンティティのはっきりしないBCPを「構成」という側面で考えてみよう。構成とは個々の要素が集まって全体を形成した状態を指す言葉だが、ここでは大きく3つの側面からBCPの構成を示す。まずは次の質問を見てほしい。
・複数の事業拠点を持つ会社が初めてBCPを作ろうとしたら、どのBCPを作ればよいか?
・BCPにはさまざまな文書が混在しているが、何かフォーマットや種類が決まっているのか?
・BCPでは発災~終息に至るまでの危機対応の流れはどうなっているのか?
1つ目の「複数の事業拠点を持つ会社がはじめてBCPを作ろうとしたら、どのBCPを作ればよいか?」について。中小企業の中には「本社」と複数の「工場」、複数の「営業所」を有するケースも少なくない。こうした場合、モデルケースとして一つのBCPを策定するのであれば、本社のBCPでもよいし主力工場のBCPでもよい。営業所については、従業員数名規模なら緊急対応マニュアルを作成するだけでよい(BCPは不要)。
初めて策定したBCPについて机上検証を経て問題なければ、他のBCPに展開していく。本社、工場それぞれのBCPは、各々自律的に判断・行動すること、本社BCPの統制のもとで被災工場が指示を受けながら活動することの2つの側面を持つように方針や手順をブラッシュアップする。本社のBCP一つですべての工場の災害対応を指揮するケースもあるが、地理的ギャップその他の制約がある中で、本社が一元的に危機をカバーしようとするBCPには危うさがつきまとう。
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