2016年のブラジル・リオデジャネイロ五輪でジカ熱は大きな懸念材料となった(出典:Shutterstock)

ジカ熱は、ヤブカ属の蚊によって媒介されるジカウイルスによる感染病です。ジカウイルスは、元々野生動物(主にサルと考えられています)と蚊の間で感染サイクルができているのではないかと考えられています。ジカ熱の症状はデング熱に類似しますが、より軽症といわれています。ジカウイルス感染症は、2016年2月5日に感染症新法で四類感染症に指定されました。ジカウイルス病と先天性ジカウイルス感染症に病型で分類されています。

熱帯・亜熱帯地方で広く分布

ジカウイルスは、1947年にアフリカ・ウガンダのジカ森林に生息するアカゲザルから初めて分離されました。人からは、1968年にナイジェリアで行われていた研究中に分離されたのが最初です。その後、ジカ熱は2007年に太平洋上のミクロネシア連邦のヤップ島で流行し、2013年にはフランス領ポリネシアで約1万人発病したと報告されています。その後、南米大陸に広がり、2014年にはチリのイースター島、2015年にはブラジルおよびコロンビアを含む南米大陸諸国で流行が起きています(図)。

世界保健機構(WHO)からは、2015年以降2016年第2週までに、中米および南米大陸、カリブ海地域では20の国や地域(バルバドス、ボリビア、ブラジル、コロンビア、エクアドル、エルサルバドル、フランス領ギアナ、グアドループ、グアテマラ、ガイアナ、ハイチ、ホンジュラス、マルティニーク、メキシコ、パナマ、パラグアイ、プエルトリコ、セント・マーティン島、スリナム、ベネズエラ)での本病罹患例が報告されています。

日本では、フランス領ポリネシアからの帰国者で診断された事例が最初でした。日本国内で人がウイルスに感染した事例は報告されていません。