長岡技術科学大学大学院生物機能工学専攻准教授 木村悟隆氏

熊本地震による熊本県内の住宅被害は、全壊、半壊、一部破損を含め7 万866 棟(5月10日現在)、大分県内は、半壊・一部破損を合わせて1028 棟(5月9日現在)に上る。今回の震災では、応急危険度判定について、赤色の貼紙を「倒壊の危険性がある」とするなど、誤った報道も相次いだ。すまいの復興に必要な知識について、長岡技術科学大学大学院准教授の木村悟隆氏に解説していただいた。

 

赤紙の貼られた家

直下型地震は怖い。下からドーン。地鳴りがドドドと先になることもある。熊本地震の映像を見て、11年前の新潟県中越地震で被災した恐怖を思い出した。余震は長く続き、揺れ続ける大地の上で落ち着けなかった。熊本・大分の被災者も被害の大小によらず、眠れぬストレスを抱えていることと思う。

地震は予知できない。何の前触れも無くやってくる。揺れている時間は短い。その間何もできない。ふっと気が付くと周りの様子がすっかり変わっている。中越地震の時は冷静にいたつもりだが、本当にそうだっただろうか? 棚から物は落ちる。壁にヒビが入る。そんな様子をみてパニックになりがちだ。

片付ける前にやるべきこと

さて、揺れが収まると直ぐに片付けをする姿がテレビによく映る。大地震では、一寸待ってほしい。「片付け過ぎて公的支援が受けられなくなる」ことがあることを知ってほしい。これから公的支援や保険を活用するための大事なポイントをいくつか書いてみたい。

地震で被災地を訪れると、出会った方にいつも次の最初の3つあるいは4つのことを言うようにしている。

「慌てない」

「写真を撮る」

「領収書・レシートは何でもとっておく。捨てない」

「支援制度を調べる」