遅きに失しているのですが・・(被災度認定は行政の義務としての業務)【熊本地震】(5月8日のFB)
室﨑 益輝
神戸大学名誉教授、ひょうご震災記念21世紀研究機構副理事長、兵庫県立大学防災教育研究センター長、ひょうごボランタリープラザ所長、海外災害援助市民センター副代表
2016/05/08
室﨑先生のふぇいすぶっく
室﨑 益輝
神戸大学名誉教授、ひょうご震災記念21世紀研究機構副理事長、兵庫県立大学防災教育研究センター長、ひょうごボランタリープラザ所長、海外災害援助市民センター副代表
遅きに失しているのですが、またまた「おせっかいな口出し」です。
罹災証明というか被災度認定がないと、仮設住宅に申し込めないという事態が生じています。これは以下の2つの点で、間違っています。
「元の住宅に住めない」という同じ状況にありながら、被災度認定が下りた人だけが仮設住宅に申し込めるというのは、不平等です。しかも、被災度認定は行政の義務としての業務ですので、それが下りないということは行政の怠慢です。その怠慢の責任を被災者に押し付けることは許されません。
もう一つの問題点です。元の住宅に住めない人、自力で住宅を確保できない人に仮の住まいを提供するのが仮設住宅です。となると、元の住宅に住めないということであれば、経済被害の判定である被災度認定ではなく、構造危険の判定である応急危険度判定の方がふさわしいと考えます。
もっとも、お役所的弁明としては、応急危険度判定はボランタリーなもので、公的な証明能力がないといわれるかもしれません。しかし、元の住宅に住めないことの証明さえできればいいので、被災度認定でなくても応急危険度判定の結果でもいいし、被災者が壊れた家の写真をもって申請すればいいことです。
震災時だからこそ、被災者が傷ついているからこそ、杓子定規に「間違った制度」を運用するのではなく、被災者に寄り添って弾力的に対処することが行政に求められているということを、肝に銘じなくてはなりません。
室﨑先生のふぇいすぶっくの他の記事
おすすめ記事
なぜ製品・サービスの根幹に関わる不正が相次ぐのか?
企業不正が後を絶たない。特に自動車業界が目立つ。燃費や排ガス検査に関連する不正は、2016年以降だけでも三菱自動車とスズキ、SUBARU、日産、マツダで発覚。2023年のダイハツに続き、今年の6月からのトヨタ、マツダ、ホンダ、スズキの認証不正が明らかになった。なぜ、企業は不正を犯すのか。経営学が専門の立命館大学准教授の中原翔氏に聞いた。
2024/11/20
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2024/11/19
ランサム攻撃訓練の高度化でBCPを磨き上げる
大手生命保険会社の明治安田生命保険は、全社的サイバー訓練を強化・定期実施しています。ランサムウェア攻撃で引き起こされるシチュエーションを想定して課題を洗い出し、継続的な改善を行ってセキュリティー対策とBCPをブラッシュアップ。システムとネットワークが止まっても重要業務を継続できる態勢と仕組みの構築を目指します。
2024/11/17
セキュリティーを労働安全のごとく組織に根付かせる
エネルギープラント建設の日揮グループは、サイバーセキュリティーを組織文化に根付かせようと取り組んでいます。持ち株会社の日揮ホールディングスがITの運用ルールやセキュリティー活動を統括し、グループ全体にガバナンスを効かせる体制。守るべき情報と共有すべき情報が重なる建設業の特性を念頭に置き、人の意識に焦点をあてた対策を推し進めます。
2024/11/08
リスク対策.PROライト会員用ダウンロードページ
リスク対策.PROライト会員はこちらのページから最新号をダウンロードできます。
2024/11/05
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方