パネルディスカッションを行った左からNHK・松本氏、JVOAD・栗田氏、経団連・井上氏、内閣府・佐谷氏

災害時に行政や企業、NPOなど支援団体、ボランティアなど関係者間の活動調整などを行っている特定非営利活動法人・全国災害ボランティア支援団体ネットワーク(JVOAD)は21~22日にかけて第4回「災害時の連携を考える全国フォーラム」を、東京都墨田区の国際ファッションセンターKFCホールで開催している。21日は山本順三・防災担当大臣も出席。オープニングセッションでは内閣府や日本経済団体連合会(経団連)の関係者も交えた災害支援に関するパネルディスカッションが行われた。

開会にあたりJVOADの栗田暢之・代表理事は大阪北部地震や西日本豪雨(平成30年7月豪雨)、台風21号、北海道胆振東部地震と立て続けに災害が起こった2018年を振り返り、ボランティアによる被災地支援に謝意を述べるとともに、「JVOADも対応しているがまだまだ不十分」と述べた。そのうえで「災害は多発化のほか、被害の広域化、そして被災者のニーズは多様化の傾向にある。支援は被災者のニーズに応えていきたい」とした。山本担当相は地元の愛媛県も被災した平成30年7月豪雨を振り返り、「JVOADは被災地で内閣府とも連携し、調整を行っていた」と述べた。20日に「行政・NPO・ボランティア等の三者連携・協働タイアップ宣言」をJVOADと調印したことも触れ、「情報共有会議を通じ、平時から連携を進めていく」とした。

パネルディスカッションでは「災害支援のあるべき連携の姿~南海トラフ地震の甚大な被害に対して支援の備えはできているか?~」がテーマ。NHK解説委員の松本浩司氏が司会を務め、栗田代表理事、内閣府の佐谷説子・政策統括官(防災担当)付参事官(普及啓発・連携担当)、経団連の井上隆・常務理事が登壇した。

佐谷参事官は発災時に被災地のみでなく、全国規模の情報共有会議を開いたのは西日本豪雨が初めてだったと説明。人員のアンバランスや道具の不足など、県をまたいだ課題を話し合えたという。また、「行政・NPO・ボランティアの三者連携で支援の実効性は高まることもあり、タイアップ宣言を行った」と説明した。現在47都道府県のうち27府県で平時も会議など連携した取り組みを行っているが、今後も拡大に努める方針を示した。

井上常務理事は、被災者に配られる義援金のみでなく、NPOなどの活動に使われる支援金にも社会の理解が進みつつあるとし、そういった組織への支援が広がっていることを指摘。またデジタル化の進展で「Society5.0」と呼ばれる社会において、組織の枠を越えた情報共有による迅速な災害対応やデジタル技術を生かしたインフラ維持管理による減災、災害時の持続的な医療サービス提供が進むと予測した。

栗田代表理事は「2016年の熊本地震が三者連携・元年だった」と指摘。行政も交えた被災地での情報共有会議に約12万人のボランティアなど人員を擁する300団体が参加したことを振り返った。また指定避難所のみでなく、車中泊や在宅避難など多様な避難形態に対するNPOの役割が大きかったと指摘。「情報共有を進め、官民連携で課題解決のサイクルを作っていきたい」とした。

JVOADでは22日も分科会などフォーラムを開催する。タイアップ宣言に基づいた最初の内閣府などと平時の全国情報共有会議を6月25日に開催する予定。

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(了)

リスク対策.com:斯波 祐介