2025/04/26
防災・危機管理ニュース
甚大な被害を出したJR福知山線脱線事故を受け、国土交通省は鉄道会社内の安全管理体制構築や自動列車停止装置(ATS)の導入義務化など、ソフト・ハード両面での安全対策を進めてきた。その後、鉄道事故件数は減少傾向にあるものの、脱線など重大事故の根絶には至っていない。
人為的ミス(ヒューマンエラー)による事故を防止するには、職場環境や企業風土の改善が必要だとして、国交省は2006年、鉄道などの運輸事業者に「安全統括管理者」の選任や「安全管理規程」の提出を義務付ける法改正を実施。現場をチェックする保安監査とは別に、経営トップに安全管理の取り組みを直接確認する「運輸安全マネジメント評価」を始めた。
これまでに国内全ての鉄道事業者への評価を終え、JR西日本には計10回実施。近年では、激甚化する自然災害やテロへの対策などを助言している。
一方、福知山線事故では、列車が制限速度を大幅に超える時速116キロでカーブに進入。現場にATSが設置されていなかったことが問題視され、国交省はカーブなどへの設置を義務化し、16年までに各社の対応が完了した。
こうした対策もあり、踏切事故やホーム転落などを含めた鉄道事故件数は05年度の857件から減少傾向にあり、23年度は680件だった。
衝突や脱線、火災の重大事故に限ると、05年度は福知山線事故や38人が死傷したJR羽越線脱線事故など28件発生。その後も、79人が負傷したJR石勝線の脱線火災事故(11年5月)などがあり、23年度は9件だった。
ある国交省幹部は「乗客が死亡する事故は羽越線以来起きていないが、事故件数は下げ止まりの状況にある」と話し、今後も対策を進めると語った。
〔写真説明〕脱線事故発生時刻近くに、速度を落として現場付近を通過する列車=25日午前、兵庫県尼崎市
(ニュース提供元:時事通信社)

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