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狂犬病対策に係る一般的な注意事項

アジア、アフリカなど狂犬病流行地域では、犬などの動物に近寄らない、絶対に接触しないことが肝要です。またジョギングをするなど、走ることは危険です。多くの野犬が近寄ってくるからです。その中に狂犬病罹患犬が混じっている場合もあります。
国外で長期滞在する場合、犬を同行させるときには目的国での動物検疫は必ずあることを知っておく必要があります。動物検疫の制度は国により異なりますが、イギリスの場合、例え出国前に狂犬病ワクチン接種がなされていても、イギリス到着後に厳しい動物検疫を受けることになります。動物検疫所の検疫場で180日間の検疫期間が課せられるため、イギリス到着後、連れて行った犬が飼い主の手元に戻るまで半年かかってしまうのです。各国の動物検疫の制度については、農水省動物検疫所に問い合わせることをお勧めします。

前回触れましたが、日本の狂犬病予防法では、国内で飼育されている全ての犬が市町村に登録されて毎年、狂犬病ワクチン接種を受けることが義務付けられています。しかし、実際には、国内で飼育されている犬のわずか50%強しか狂犬病ワクチンの接種を受けていないという報告もあります。日本国内での狂犬病発生なしの状態を継続するためには、接種率70%を越える必要があります。現状のまま推移すれば、国内で飼育されている犬の狂犬病ウイルスに対する感受性が高まり、近い将来、国内での狂犬病発生が起きることが心配されます。また任意ですが、飼育されている猫の狂犬病ワクチン接種も重要であると考えられます。猫もまた、高い狂犬病ウイルス感受性を持っているのです。

(了)