2019/04/12
防災・危機管理ニュース

東京都は12日、2020年の東京オリンピック・パラリンピック期間中の交通混雑緩和のため「都庁2020アクションプラン」を公表した。大会期間中の都としての具体的な取り組みで、職員の時差出勤やテレワークの実施、備品の納入を行わないなどの措置をとる。
オリンピックは2020年7月24日~8月9日まで、パラリンピックは8月25日~9月6日までを予定している。この間、都庁本庁職員の約半数に相当し、大会関連業務や都民との直接対応が必要な業務を行わない約5000人がテレワークや時差出勤、フレックスタイムなどを利用し働く。テレワークについては週1回以上実施する。庁有車の利用も控え、利用する場合も高速道路の利用や競技会場周辺のルートは避ける。
両大会期間中、本庁や出張事業所を含む約900カ所に備品やコピー用紙を納品しなくていいよう、前もってまとめて調達を済ませておく。2017年度の同期間は本庁だけでもコピー用紙の納品が約6700箱あったという。広報誌やポスターなどの印刷物の納品も大会期間中は行わない。資料の電子化や両面コピーの徹底などのほか、水筒や弁当箱の持参も職員に呼びかけゴミの削減も行う。
都庁発注工事については両大会開会式前日から閉会式翌日まで、会場周辺や観客輸送ルート、都心の16地区などにおいて路上工事を避けるために発注時期の調整や一時休止、工事の夜間実施・振替を行う。両大会の平日は工事から発生する車両数の削減も行う。例年7月上旬~9月上旬に実施している都主催のイベントなども大会前後に行うように調整する。
都では今夏の7月22日~9月6日までの平日、本番を想定し時差出勤やテレワークを実施。両大会期間の1年前にあたる7月22日~8月2日と8月19~30日までの平日は備品・コピー用紙の納入ゼロやゴミ削減などに取り組む。
小池百合子知事は12日の記者会見で都が民間企業にテレワークや時差出勤などを呼びかけていることもあり、アクションプランについて「都庁として『隗(かい)より始めよ』ということ。都庁の取り組みを知らせることが、企業には自分たちができることの気づきにつながる」と民間に都の姿勢を示し、参考になるよう狙いを説明した。都では今後、大会期間中の混雑緩和のための交通需要マネジメントのほか、時差出勤、テレワークの普及などを新しいワークスタイル確立のため「スムーズビズ」として展開。15日に公式ホームページを設置するほか、5月29日に千代田区の丸ビルホールでキックオフイベントを行う。小池知事は「2030年代には五輪で働き方が変わったと思われるようになってほしい」と述べた。
■ニュースリリースはこちら
http://www.metro.tokyo.jp/tosei/hodohappyo/press/2019/04/12/13.html(都庁2020アクションプラン)
http://www.metro.tokyo.jp/tosei/hodohappyo/press/2019/04/12/05.html(スムーズビズ)
(了)
リスク対策.com:斯波 祐介
防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/04/22
-
帰宅困難者へ寄り添い安心を提供する
BCPを「非常時だけの取り組み」ととらえると、対策もコストも必要最小限になりがち。しかし「企業価値向上の取り組み」ととらえると、可能性は大きく広がります。西武鉄道は2025年度、災害直後に帰宅困難者・滞留者に駅のスペースを開放。立ち寄りサービスや一時待機場所を提供する「駅まちレジリエンス」プロジェクトを本格化します。
2025/04/21
-
-
大阪・関西万博 多難なスタート会場外のリスクにも注視
4月13日、大阪・関西万博が開幕した。約14万1000人が訪れた初日は、通信障害により入場チケットであるQRコード表示に手間取り、入場のために長蛇の列が続いた。インドなど5カ国のパビリオンは工事の遅れで未完成のまま。雨にも見舞われる、多難なスタートとなった。東京オリンピックに続くこの大規模イベントは、開催期間が半年間にもおよぶ。大阪・関西万博のリスクについて、テロ対策や危機管理が専門の板橋功氏に聞いた。
2025/04/15
-
BCMSで社会的供給責任を果たせる体制づくり能登半島地震を機に見直し図り新規訓練を導入
日本精工(東京都品川区、市井明俊代表執行役社長・CEO)は、2024年元日に発生した能登半島地震で、直接的な被害を受けたわけではない。しかし、増加した製品ニーズに応え、社会的供給責任を果たした。また、被害がなくとも明らかになった課題を直視し、対策を進めている。
2025/04/15
-
-
生コン・アスファルト工場の早期再稼働を支援
能登半島地震では、初動や支援における道路の重要性が再認識されました。寸断箇所の啓開にあたる建設業者の尽力はもちろんですが、その後の応急復旧には補修資材が欠かせません。大手プラントメーカーの日工は2025年度、取引先の生コン・アスファルト工場が資材供給を継続するための支援強化に乗り出します。
2025/04/14
-
新任担当者でもすぐに対応できる「アクション・カード」の作り方
4月は人事異動が多く、新たにBCPや防災を担当する人が増える時期である。いざというときの初動を、新任担当者であっても、少しでも早く、そして正確に進められるようにするために、有効なツールとして注目されているのが「アクション・カード」だ。アクション・カードは、災害や緊急事態が発生した際に「誰が・何を・どの順番で行うか」を一覧化した小さなカード形式のツールで、近年では医療機関や行政、企業など幅広い組織で採用されている。
2025/04/12
-
-
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方