2人が1組となって災害食を作る様子

2014年に広島市で起こった土砂災害の後、私はボランティアとして現地(安佐南区、八木)にいました。そこで耳にした話は異様なものでした。豪雨により、急な坂道を上り詰めたところの裏山で、突然、土石流が発生したというのです。土地の人がポロッと私に話し掛けてきました。

「私たちがこれまで行っていた防災訓練は、火事を消すための消防訓練でした。こんな土石流が襲うなんて予想もしなかった」

家が丸ごと流された空き地で、しゃがみこんでひたすら祈る家族の姿を見たとき、本気で涙しました。いったいこの地では、防災訓練は「誰が、どこで、どのように」計画し、行っていたのでしょうか。

いつも思うことですが、訓練の内容を決めるのはその土地に暮らす住民自身のはずですが、そうなっていない。消防署がリーダーシップを取っている場合が多いように思います。今回は、神戸市須磨区の神戸市立横尾小学校で行われた防災訓練中に食べた昼食の話をしましょう。

 

小学生の、小学生による、小学生のための災害食作り

その防災訓練は、とても本気度の高いものでした。須磨消防署の熱心な署員2人と学校が、1年かけて計画を立ててきました(それに私も少々意見を述べて)。災害食を使った訓練も行われましたが、筋書きはこうです。

「大規模災害(地震と火災)が発生しました。避難所(今回は学校)に避難しましたがライフラインが止まり、交通が混乱し、救援物資は届きません。学校に備蓄されているのはアルファ化米(白米)と野菜ジュース(紙パック入り)とポテトツナサラダの缶詰の3品です。さあ、昼食をどうしましょう」