第3回 スマートフォンの業務利用における留意点

毎熊 典子
慶應義塾大学法学部法律学科卒、特定社会保険労務士。日本リスクマネジャー&コンサルタント協会評議員・認定講師・上級リスクコンサルタント、日本プライバシー認証機構認定プライバシーコンサルタント、東京商工会議所認定健康経営エキスパートアドバイザー、日本テレワーク協会会員。主な著書:「これからはじめる在宅勤務制度」中央経済社
2016/05/26
インターネット新時代の労務リスクマネジメント
毎熊 典子
慶應義塾大学法学部法律学科卒、特定社会保険労務士。日本リスクマネジャー&コンサルタント協会評議員・認定講師・上級リスクコンサルタント、日本プライバシー認証機構認定プライバシーコンサルタント、東京商工会議所認定健康経営エキスパートアドバイザー、日本テレワーク協会会員。主な著書:「これからはじめる在宅勤務制度」中央経済社
スマートフォンの普及が急速に進む中で、スマートフォンを業務用ツールとして導入する企業・組織が増えています。そこで今回は、スマートフォンの業務利用に伴う労務リスクと対策の必要性について説明します。
編集部注:「リスク対策.com」本誌2014年9月25日号(Vol.45)掲載の連載を、Web記事として再掲したものです。(2016年5月26日)
1 スマートフォンの普及状況
スマートフォンは、パソコンの機能を併せ持つ、インターネットとの親和性が高い多機能携帯電話のことを言います。
日本では、他の先進国と比べてスマートフォンの普及が遅れていましたが、ここ数年で急速に普及が進み、昨年の総務省調査によると、スマートフォンの保有率は全体で52.8%と、国民の2人に1人がスマートフォンを保有している状況です。
一般的なスマートフォンが持つ機能は、WEB閲覧や電子メールの送受信、文書ファイルの作成・閲覧、写真や音楽、ビデオの再生・閲覧、カレンダー機能、住所録、電卓、写真や動画の撮影、テレビ電話などがあります。また、インターネットを通じてその機種が搭載している基本ソフト(OS)に対応したアプリケーションソフト(アプリ)をダウンロードして追加することができ、利用者の嗜好に応じた機能面の拡張やパーソナライズが容易です。さらに、全地球測位システム(GPS)機能を利用することで、位置検索サービスなどの端末が所在する位置に応じたサービスを利用することができます。
2 ビジネスシーンでの利用
スマートフォンの普及が進む中で、最近では、スマートフォンを業務用ツールとして利用する企業・組織が増えています。アイティメディア株式会社が今年の2月に実施した「スマートデバイスの業務利用に関する読者調査」によると、56%の企業が何らかの形でスマートフォンやタブレット端末などのスマートデバイスの業務利用を許可しています。
外出先でのWEBサイトの閲覧やメール・スケジュールの確認、プレゼン資料やカタログなどの表示、地図および位置情報の利用、WEB会議、顧客管理、在庫・販売管理、従業員の勤怠管理や健康管理、社内SNSによる情報共有やコミュニケーションの活性化など、スマートフォンの利用用途は多岐にわたります。これまでも、外出時のメール・スケジュール確認などは、ネットワークに接続されたノートパソコンを利用すれば可能でしたが、スマートフォンは、その利便性とスピードにおいて格段優れています。
また、コミュニケーションの活性化、業務の効率化、意思決定の迅速化、ペーパーレス化によるコスト削減などを目的とした利用以外にも、震災や交通障害、パンデミック等の発生時において事業継続性を確保するためのツールとして、さらに、育児・介護等を理由に通常勤務が困難となった従業員に対して在宅勤務などの働き方を提案し、優秀な人材の継続雇用を可能とするツールとしても期待されています。
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