国産のERMツール開発を統括する林理絵氏(右)と徳永拓CSO

企業のリスクマネジメントを管理するITツール「ERM(Enterprise Risk Management)」の開発を手掛けるGRCS(ジー・アール・シー・エス)は22日、全社リスクマネジメントに特化したクラウドアプリケーション「エンタープライズリスクMT」を2019年1月から提供開始すると発表した。本提供を前に現在トライアルユーザー企業を募集している。

同ツールは、企業の事業継続に関わるガバナンス・リスク・コンプライアンス(GRC)の領域における危機管理業務用のITシステム。本社・支社・生産工場など多数拠点をもつ企業が全社の危機管理業務をクラウドアプリケーションに集約し、複雑に絡み合う多数のリスクをツール上で体系的に管理でき、現状のリスク評価から、対策計画作成と進捗管理、対策後のリスク再評価まで、一連の管理作業を大幅に効率化できる。

海外では同様のERMツールとして活用されている中、同社は2011年に国産初のERMツール「リスクオーガナイザー」を発売してきた。今回は「エンタープライズリスクMT」として8年ぶりにシステムを刷新する。

新たな「エンタープライズリスクMT」は従来通りSalesforce(セールスフォース)社のクラウドサービス基盤を活用。これまでリスク管理担当者と各部門長だけでなく、各部門下の社員もシステムユーザーに組み込めるようにした。これにより現場から細かいリスクや対策手順を拾いやすくなるほか、各部門で自律的に管理する「リスクマネジメントの階層化」ができるようになった。今年2月に改訂されたリスクマネジメントの国際規格「ISO31000:2018」に準拠し、意思決定者の承認プロセスを明確化させている。

「エンタープライズリスクMT」の経営層向けダッシュボード。全社リスクマネジメントの進捗状況をITツールでわかり易く提示できる(提供:GRCS)

サービスはクラウドベースで、PCへのインストール不要。月定額制で1ユーザーあたり、リスク管理者が月2万円、部門長・部門ユーザーが月4000円。すでにSalesforce社のサービスと契約していればデータ連携などのメリットはあるが、新たな契約は不要。

徳永拓CSO(最高戦略責任者)は「特にグローバル展開する製造業企業は拠点数も非常に幅広く、全社で数千~数万のリスクを管理しなければならず、書類をとりまとめるだけで手一杯になってしまう。リスク管理業務をITツールに移行することで、本来やるべき分析・評価、現場とのコミュニケーションによる対策構築にあててほしい」と話している。

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https://www.grcs.co.jp/news/20181022

(了)

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リスク対策.com:峰田 慎二