50社を超えるスポンサーが一斉にCM出稿を停止するという未曾有の事態となったフジテレビ。中居正広氏と女性との性的トラブルを発端とするこの騒動は、日本の企業社会に潜む根深い問題を、図らずも白日の下にさらすことになりました。
同社の港浩一社長が開いた1月17日の記者会見では、参加できる記者が制限され、テレビカメラでの撮影が禁止されるなど限定的なものでした。これに加え、社長会見での不十分な説明が企業や視聴者の不信感を増大させ、トヨタ自動車、日本生命保険、セブン&アイ・ホールディングス、日産自動車など錚々たる企業が次々とCM出稿を停止する事態になりました。
2003年の日本テレビ視聴率買収事件でさえ見られなかった「スポンサーの総崩れ」。なぜ、ここまでの事態に発展してしまったのでしょうか。
見誤った時代性
事の発端は、2023年6月にさかのぼります。人気タレントの中居正広氏と20代女性との間で起きた深刻な性的トラブル。この時点で、フジテレビは自社社員の関与を認識していました。
事態が表面化したのは2023年12月中旬。週刊誌「女性セブン」が中居氏の「深刻なトラブル」を報道。その後、「週刊文春」が中居氏が女性に9000万円の解決金を支払ったと報じました。フジテレビは当初、社員の関与を否定しましたが、2025年1月15日に外部弁護士による調査を開始したと発表しました。
誤っていたのは性的トラブルの報告を受けた段階での「調査は不要」という企業としての判断。「社員の関与はない」という初期の否定。そして、週刊誌報道後も続いた消極的な姿勢。これらの対応により、手ひどい代償を払うことになりました。
背景には、セクハラや性虐待、性的暴行など見過ごさないという世界的な意識変化があります。日本も例外ではありません。2017年のハリウッドから始まった#MeToo運動。そして2023年、BBCの報道をきっかけに表面化したジャニーズ事務所の問題。続いて2024年、松本人志氏による性加害の問題。
事態を「知らなかった」は、もはや言い訳として通用しない時代に突入しています。組織の責任が厳しく問われる時代になっています。
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