出典:maruchanchannel (YouTube)

「大変です!昨日公開した新商品のプロモーション動画が炎上しています!」


法務部、広報部、さらには外部の専門家まで入れて慎重に制作したはずの動画が、予期せぬ角度から批判を浴びるーー。そんな事態は、もはやどの企業でも起こりうるリスクとなっています。

2025年2月、東洋水産の「マルちゃん 赤いきつね」のアニメCMが、まさにそのような状況に直面しました。若い女性が自宅で「赤いきつね」を食べるという、一見何の問題もないシーンを描いた動画でした。しかし、女性の頬が赤く染まった表情や口元のアップが「性的」と感じる、という批判がSNS上で展開され、話題となりました。これに対し東洋水産は動画を削除することも、謝罪することもありませんでした。

「敢えて対応しない」という東洋水産の判断は、企業の危機管理の新しい可能性を示唆しています。炎上に対して必ずしも表立った対応が最適解とは限らない。これは、ソーシャルメディア時代の複雑な情報環境における、企業コミュニケーションの新たな指針となるかもしれません。

沈黙は正解か?

近年、企業の広告やプロモーション活動において、炎上事例が増加しています。

2022年末、ラグジュアリーブランドの「バレンシアガ」は、ホリデーキャンペーンの広告写真が大きな批判を受けました。写真には、SMグッズを想起させるテディベアバッグを持つ子どもが写っていました。さらに別の広告では背景に児童性的搾取に関する裁判資料が写り込んでいました。

これらの事例でバレンシアガは即座に広告を取り下げ、公式声明で謝罪。さらにCEOが直接謝罪して組織体制の見直しまで約束する、徹底した対応を行いました。これは適切な判断だったと考えます。なぜなら、問題が明確で、かつ国際的な人権や子どもの権利に関わる重大な案件だったからです。