2025/01/21
防災・危機管理ニュース
【ニューヨーク時事】トランプ氏は地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」から米国を離脱させ、石油や天然ガスの増産を目指す見通しだ。世界一の経済大国で、二酸化炭素(CO2)排出量が中国に次ぐ第2位の米国が抜ければ、国際的に対策の機運が後退し、気候変動に関連した異常気象が一層深刻になる恐れがある。
「米国のエネルギーにバイデンが仕掛けた戦争を終わらせ、資源を解き放つ」。トランプ氏は19日、首都ワシントンで開かれた集会で、バイデン政権が導入した化石燃料の生産抑制策の撤回を宣言した。再生可能エネルギー普及や電気自動車(EV)購入に対する巨額の財政支援についても、廃止に動くとみられる。
トランプ氏が気候変動をたびたび「でっち上げ」と呼んできた一方で、温暖化の進行には歯止めがかかっていない。パリ協定は、世界の気温上昇を産業革命前から1.5度に抑えることを目標とするが、欧州連合(EU)と国連の気象機関は今月、2024年の平均気温がこの水準を初めて超えたと相次いで報告した。
各地で深刻化する台風や豪雨などの背景に、温暖化があるとみられる。ロサンゼルス近郊で今月発生したような大規模な山火事も「気温上昇により植物や土壌が乾燥することで甚大化しやすくなる」(米気候研究者)と、関連が指摘されている。
トランプ政権は1期目でもパリ協定から離脱。ただ、規定により実際に抜けたのは宣言から3年以上たった20年11月で、バイデン政権が翌年2月に復帰した。今回は1年後には離脱できるため、米国が国際協調の足かせとなる期間が長期化しそうだ。
〔写真説明〕トランプ米大統領=19日、ワシントン(AFP時事)
(ニュース提供元:時事通信社)

防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
-
-
-
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/03/25
-
-
全社員が「リスクオーナー」リーダーに実践教育
エイブルホールディングス(東京都港区、平田竜史代表取締役社長)は、組織的なリスクマネジメント文化を育むために、土台となる組織風土の構築を進める。全役職員をリスクオーナーに位置づけてリスクマネジメントの自覚を高め、多彩な研修で役職に合致したレベルアップを目指す。
2025/03/18
-
ソリューションを提示しても経営には響かない
企業を取り巻くデジタルリスクはますます多様化。サイバー攻撃や内部からの情報漏えいのような従来型リスクが進展の様相を見せる一方で、生成 AI のような最新テクノロジーの登場や、国際政治の再編による世界的なパワーバランスの変動への対応が求められている。2025 年のデジタルリスク管理における重要ポイントはどこか。ガートナージャパンでセキュリティーとプライバシー領域の調査、分析を担当する礒田優一氏に聞いた。
2025/03/17
-
-
-
なぜ下請法の勧告が急増しているのか?公取委が注視する金型の無料保管と下請代金の減額
2024年度は下請法の勧告件数が17件と、直近10年で最多を昨年に続き更新している。急増しているのが金型の保管に関する勧告だ。大手ポンプメーカーの荏原製作所、自動車メーカーのトヨタや日産の子会社などへの勧告が相次いだ。また、家電量販店のビックカメラは支払代金の不当な減額で、出版ではKADOKAWAが買いたたきで勧告を受けた。なぜ、下請法による勧告が増えているのか。独占禁止法と下請法に詳しい日比谷総合法律事務所の多田敏明弁護士に聞いた。
2025/03/14
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方