女性が本当に求める災害対策
コニカミノルタのアプローチ

危機管理塾 12月18日

コニカミノルタ 総務部 防災企画グループ 係長
林佳津子氏

危機管理塾を昨年12月18日にリアル開催

女性従業員の災害時不安を大幅に低減

危機管理塾は昨年12月18日、東京・千代田区の朝日ビル会議室で開催。情報処理技術を用いて産業・オフィス分野の課題解決事業を行うコニカミノルタの林佳津子氏が自社の安全防災活動を紹介し、そのなかで取り組んだ女性の不安要素の軽減対策について発表した。

世界50カ国でグローバル展開する同社は、国内では関東・東海・関西に十数拠点を所有。従業員約4800人の約2割が女性で、各拠点に安全防災の実行部門を配置するなど日頃から高い防災レジリエンスを目指して活動しているという。

全社的なプロセス改善活動、いわゆるQC活動も定着。その一環で2019年度、林氏と関西拠点の安全防災実行部隊に所属する女性2人の計3人が横断チームを組んで「災害時における女性が抱える不安要素の軽減」に取り組んだ。

最初に女性従業員にアンケートを実施して現状を把握。災害時における精神面・備蓄面・環境面・肉体面の不安要素とその度合いを聞き、関連会社を含めて1197人から回答を得た。それによると、精神面では家族、備蓄面では女性用品・衛生用品、環境面ではトイレ、肉体面では徒歩帰宅の不安が大きく、かつ、すべての項目で「大変不安」という回答が多かったという。

林氏らはこれらの改善に優先的に取り組むこととし、年度末までに「大変不安」の回答割合を半減させることを目標に設定。従業員側と会社側の双方から対策を練り、アプローチした。

従業員側では「防災ノート」と銘打ったガイドブックを作成し、日頃の備えやいざというときに役立つツール、その使い方などを整理して提供。会社側へは被災地本部体制と備蓄体制の改善を要望し、本部メンバーへの女性の配置、仮設トイレの設置場所の配慮、生理用品の備えと受け渡し方の工夫などをマニュアルに落とし込んだ。

その後あらためてアンケートを行った結果、不安が大きかった項目で「大変不安」の回答割合が大幅に減少。家族を大変不安と思う人は95%から11%に、女性用品・衛生用品は85%から10%に、トイレは96%から20%に、徒歩帰宅は15%から13%に減り「一人一人に自分事としてもらうことができた」とする。

講演するコニカミノルタの林氏

林氏はコロナ禍を経た現在の取り組みについて、安否確認の強化や電源・通信手段の確保などに引き続き努めていることに言及。また「備蓄品などはコストとのバランスの関係が難しい。どこまでそろえたら安心できるのかは課題で、女性のニーズ収集と従業員への防災意識向上への動機づけを継続していきたい」と話した。

●次回危機管理塾
1月17日16:00 ~17:30 NATULUCK神保町8F会議室
「能登半島地震はBCPをどう変えたか―市立輪島病院の経験」
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