2025/01/09
定例セミナーダイジェスト
女性が本当に求める災害対策
コニカミノルタのアプローチ
危機管理塾 12月18日
コニカミノルタ 総務部 防災企画グループ 係長
林佳津子氏
女性従業員の災害時不安を大幅に低減
危機管理塾は昨年12月18日、東京・千代田区の朝日ビル会議室で開催。情報処理技術を用いて産業・オフィス分野の課題解決事業を行うコニカミノルタの林佳津子氏が自社の安全防災活動を紹介し、そのなかで取り組んだ女性の不安要素の軽減対策について発表した。
世界50カ国でグローバル展開する同社は、国内では関東・東海・関西に十数拠点を所有。従業員約4800人の約2割が女性で、各拠点に安全防災の実行部門を配置するなど日頃から高い防災レジリエンスを目指して活動しているという。
全社的なプロセス改善活動、いわゆるQC活動も定着。その一環で2019年度、林氏と関西拠点の安全防災実行部隊に所属する女性2人の計3人が横断チームを組んで「災害時における女性が抱える不安要素の軽減」に取り組んだ。
最初に女性従業員にアンケートを実施して現状を把握。災害時における精神面・備蓄面・環境面・肉体面の不安要素とその度合いを聞き、関連会社を含めて1197人から回答を得た。それによると、精神面では家族、備蓄面では女性用品・衛生用品、環境面ではトイレ、肉体面では徒歩帰宅の不安が大きく、かつ、すべての項目で「大変不安」という回答が多かったという。
林氏らはこれらの改善に優先的に取り組むこととし、年度末までに「大変不安」の回答割合を半減させることを目標に設定。従業員側と会社側の双方から対策を練り、アプローチした。
従業員側では「防災ノート」と銘打ったガイドブックを作成し、日頃の備えやいざというときに役立つツール、その使い方などを整理して提供。会社側へは被災地本部体制と備蓄体制の改善を要望し、本部メンバーへの女性の配置、仮設トイレの設置場所の配慮、生理用品の備えと受け渡し方の工夫などをマニュアルに落とし込んだ。
その後あらためてアンケートを行った結果、不安が大きかった項目で「大変不安」の回答割合が大幅に減少。家族を大変不安と思う人は95%から11%に、女性用品・衛生用品は85%から10%に、トイレは96%から20%に、徒歩帰宅は15%から13%に減り「一人一人に自分事としてもらうことができた」とする。
林氏はコロナ禍を経た現在の取り組みについて、安否確認の強化や電源・通信手段の確保などに引き続き努めていることに言及。また「備蓄品などはコストとのバランスの関係が難しい。どこまでそろえたら安心できるのかは課題で、女性のニーズ収集と従業員への防災意識向上への動機づけを継続していきたい」と話した。
●次回危機管理塾
1月17日16:00 ~17:30 NATULUCK神保町8F会議室
「能登半島地震はBCPをどう変えたか―市立輪島病院の経験」
お申し込みはこちら。
- keyword
- 防災
- BCP
- サイバーセキュリティ
- ヒドゥンチャネル
- 防災庁
防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
-
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/01/07
-
-
リスク対策.PROライト会員用ダウンロードページ
リスク対策.PROライト会員はこちらのページから最新号をダウンロードできます。
2025/01/05
-
-
-
-
-
能登の二重被災が語る日本の災害脆弱性
2024 年、能登半島は二つの大きな災害に見舞われました。この多重被災から見えてくる脆弱性は、国全体の問題が能登という地域で集約的に顕在化したもの。能登の姿は明日の日本の姿にほかなりません。近い将来必ず起きる大規模災害への教訓として、能登で何が起きたのかを、金沢大学准教授の青木賢人氏に聞きました。
2024/12/22
-
製品供給は継続もたった1つの部品が再開を左右危機に備えたリソースの見直し
2022年3月、素材メーカーのADEKAの福島・相馬工場が震度6強の福島県沖地震で製品の生産が停止した。2009年からBCMに取り組んできた同工場にとって、東日本大震災以来の被害。復旧までの期間を左右したのは、たった1つの部品だ。BCPによる備えで製品の供給は滞りなく続けられたが、新たな課題も明らかになった。
2024/12/20
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方