約23万人の死者・行方不明者を出した2004年のスマトラ沖地震・インド洋大津波は26日、発生から20年を迎える。津波で多数の死者が出たタイでは、「もう災害で人を死なせない」との思いを強くした住民の主導で、それまで実施されてこなかった避難訓練が各地で行われるようになった。
 大津波で、タイの死者・行方不明者は8600人を超えた。南部のリゾート地プーケット島などが被災し、日本人28人を含む多くの観光客も犠牲になった。
 南部パンガー県ナムケム村では、約1600世帯の住民のうち600人以上が死亡。07年からボランティアとして防災活動に関わるプラユーンさん(57)も、父や孫ら多くの親戚を亡くした。
 当時タイでは災害として津波が認識されておらず、警報システムがなく住民らの避難が遅れた。避難訓練が実施されていなかったり、避難経路の標識がなかったりしたことで混乱も生じ、被害拡大につながった。
 大津波後、政府は警報システムを導入し、地元自治体は避難訓練を実施するようになった。パンガー県などでは海沿いに避難所が建てられ、避難経路を記した看板も設置された。
 ナムケム村の防災ボランティアは約20人。地元自治体と共に避難計画や避難経路を練り、訓練時はおそろいの服で住民や観光客らを誘導する。
 メンバーは東日本大震災後、日本の被災地を訪れて被災者らに経験などを伝えたこともあった。プラユーンさんは「政府に頼るだけではなく、地域社会として災害から人を守るための準備をすることが重要だ」と強調した。 
〔写真説明〕タイで防災ボランティアとして活動するプラユーンさん=12日、タイ南部パンガー県

(ニュース提供元:時事通信社)