【釜山=韓国=時事】プラスチックによる汚染を規制する条約の制定に向けた国際交渉が進む中、国内でもプラの使用をいかに減らすかが課題となっている。レジ袋の有料化といった「脱プラ」の取り組みは浸透しつつあるが、依然としてプラ製容器包装の廃棄量が多いといった事情がある。識者からは「消費者の購買行動を変えることが必要だ」との指摘が出ている。
 国内では、2020年7月にスーパーやコンビニなどの小売店でプラ製のレジ袋が有料化された。22年の国の世論調査では、有料のレジ袋を辞退する人は8割を超えた。日本経済綜合研究センターの調査によると、同年の国内のレジ袋流通量は約12.5万トンで、19年から約7.5万トン減少。環境省担当者は「一定の効果を挙げている」と評価する。
 それでも世界的に見れば、日本のプラ使用量は多い。18年の国連環境計画(UNEP)の報告書によると、日本の人口1人当たりのプラ製容器包装の廃棄量は、最も多い米国に次ぐ水準。上智大大学院の織朱実教授は「このままプラ資源を使い続けていいのか、本当に(原料となる)石油資源を使う必要があるか考えなければならない」と話す。
 プラを使うにしても再生材を使用した製品などの拡大が欠かせないとされるが、石油由来のものより高価で、消費者に選ばれにくいのがネックとなる。業界団体の調査で、植物由来のバイオマスや、自然界で微生物によって分解される生分解性のプラ製品を買う際に、約24%が「価格上昇を許容しない」との結果も出ている。
 織教授は、消費者の意識向上に加えて、企業側にもさらなる取り組みを求める。「製品にどのくらい再生材が使われ、リサイクルされているかを消費者が見られる仕組みが必要だ」と語った。 

(ニュース提供元:時事通信社)