2024/11/28
防災・危機管理ニュース
【北京時事】中国で、厳格な「ゼロコロナ」政策に抗議する「白紙運動」が起きてから、今月下旬で2年が経過した。政府への抗議活動を抑え込むことに成功した習近平政権だが、今も運動の中心となった若者らへの監視を緩めていない。締め付けで社会の閉塞(へいそく)感が高まっており、凶悪事件の多発という形で表面化しつつある。
2年前に北京で抗議活動が起きた27日、当時多くの人が集まった市内の現場付近には複数のパトカーや公安当局の車両が停車。警官らが街頭に立ち、通行人の動きに目を光らせていた。
習政権は多くの人が自然発生的に集まるのを極度に警戒している。今月には、河南省鄭州市の大学生らの間で流行した夜間サイクリングの規制に乗り出した。
夜間サイクリングは、地元大学生が「青春の思い出づくり」としてその様子をSNSに投稿したのがきっかけで、今月8~9日には20万人以上が集まる事態になった。習政権は若者らの行動が抗議活動に発展するのを懸念したとみられ、香港メディアによると、寮に住む学生の外出を制限している。
当局の干渉が強まる中、景気低迷で社会全体に不満がたまっている。今月11日には、広東省珠海市で男(62)が自動車で暴走し78人が死傷。16日には、江蘇省無錫市の職業教育学校で男(21)が刃物で切り付け25人が死傷する事件が起きた。
無錫の事件の容疑者は実習の待遇に不満を抱いていたといい、SNSに出回った文章には「死をもって労働法が改善されるのを願う」と制度への批判が記されていた。当局は報道を統制しており真相は不明だが、「やり場のない不満が無差別殺傷事件という形で噴出している可能性がある」(北京の外交関係者)との指摘は多い。
〔写真説明〕2年前に「白紙運動」が行われた現場付近の警戒に当たる中国の警官=27日、北京
(ニュース提供元:時事通信社)
- keyword
- 中国
防災・危機管理ニュースの他の記事
- 抗議抑え込みも募る不満=若者らの監視強化―中国・白紙運動2年
- 微細なプラ、血中からも検出=有害物質対策、求める声
- ロボットがロボットを「誘拐」?=「集団逃走」でAIに懸念の声も―中国
- 能登地震の関連死、247人に=12人追加答申―石川
- ソウルで記録的大雪=11月の最多積雪更新―韓国
おすすめ記事
-
-
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2024/11/26
-
-
なぜ製品・サービスの根幹に関わる不正が相次ぐのか?
企業不正が後を絶たない。特に自動車業界が目立つ。燃費や排ガス検査に関連する不正は、2016年以降だけでも三菱自動車とスズキ、SUBARU、日産、マツダで発覚。2023年のダイハツに続き、今年の6月からのトヨタ、マツダ、ホンダ、スズキの認証不正が明らかになった。なぜ、企業は不正を犯すのか。経営学が専門の立命館大学准教授の中原翔氏に聞いた。
2024/11/20
-
-
ランサム攻撃訓練の高度化でBCPを磨き上げる
大手生命保険会社の明治安田生命保険は、全社的サイバー訓練を強化・定期実施しています。ランサムウェア攻撃で引き起こされるシチュエーションを想定して課題を洗い出し、継続的な改善を行ってセキュリティー対策とBCPをブラッシュアップ。システムとネットワークが止まっても重要業務を継続できる態勢と仕組みの構築を目指します。
2024/11/17
-
-
セキュリティーを労働安全のごとく組織に根付かせる
エネルギープラント建設の日揮グループは、サイバーセキュリティーを組織文化に根付かせようと取り組んでいます。持ち株会社の日揮ホールディングスがITの運用ルールやセキュリティー活動を統括し、グループ全体にガバナンスを効かせる体制。守るべき情報と共有すべき情報が重なる建設業の特性を念頭に置き、人の意識に焦点をあてた対策を推し進めます。
2024/11/08
-
-
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方