2024/11/21
防災・危機管理ニュース
【リオデジャネイロ時事】中国の習近平国家主席はペルー、ブラジルで開催された一連の国際会議の日程を終えた。来年1月に退任するバイデン米大統領のレームダック(死に体)化が指摘され、各国がトランプ次期大統領の再登板に戦々恐々とする中、中国の国際貢献をアピール。「頼れる大国」として存在感を誇示した。ただ、攻めの姿勢が目立った外交とは対照的に、内政では経済の停滞をどのように解決するか道筋は見えていない。
「われわれは保護主義に反対し、経済問題の政治化や人為的にグローバル市場を分断することは避けるべきだ」。ブラジル・リオデジャネイロで18日に開かれた20カ国・地域首脳会議(G20サミット)の席上、「米国第一」を掲げるトランプ氏を念頭に習氏は力説した。
米欧主導の国際秩序の変革を目指す習政権は、かねて新興・途上国との連携強化を図ってきた。米国の政権移行期で「力の空白」が生じることが予想され、トランプ氏の再来に各国が疑心暗鬼を募らせている。こうした現状は、習氏にとっては外交的好機と言える。
習氏はブラジルに先立ち訪れたペルーで、中国主導で太平洋岸チャンカイに建設された巨大港の開港式にオンラインで出席。中国の巨大経済圏構想「一帯一路」が、米国の「裏庭」とも呼ばれる地域に浸透している現実を見せつけた。
習氏は、中国と懸案を抱える国との関係修復にも注力。期間中、石破茂首相をはじめとして韓国や英国、オーストラリアの首脳らと個別会談した。議長国ブラジルは習氏を国賓待遇とし、サミットの日程終了後、個別に首都ブラジリアに招待して厚遇した。
一方、中国国内に目を転じれば、不動産不況に歯止めがかからず、景気低迷が長期化。人々の間に「社会への不満」が広がっているとみられ、凶悪事件が多発している。習氏の外遊とほぼ同時期に、広東省珠海市で男が自動車で人をはね78人が死傷する事件などが起きた。
中国人民大の時殷弘教授は「トランプ氏の孤立主義が中国に有利に働くという分析がある。しかし、結局は空虚な外交上の利益を得るだけで、中国の財政はさらに逼迫(ひっぱく)に向かい、国民の不満はますます大きくなるだろう」と悲観的な見方を示した。
〔写真説明〕18日、ブラジルのリオデジャネイロで、20カ国・地域首脳会議(G20サミット)の会合に臨む中国の習近平国家主席(AFP時事)
(ニュース提供元:時事通信社)
- keyword
- 中国
防災・危機管理ニュースの他の記事
- 全固体電池、来年1月に実証生産=栃木の研究所で―ホンダ
- 「石炭火力新設反対」で連合=EUと25カ国、日米は不参加―COP29
- 国防相会談実現せず=米提案、中国が拒絶
- 「トランプ前夜」外交攻勢=経済停滞、内政に課題―中国・習近平氏
- 博士号に見合う初任給を=専門人材の就職支援で手引案―政府
おすすめ記事
-
なぜ製品・サービスの根幹に関わる不正が相次ぐのか?
企業不正が後を絶たない。特に自動車業界が目立つ。燃費や排ガス検査に関連する不正は、2016年以降だけでも三菱自動車とスズキ、SUBARU、日産、マツダで発覚。2023年のダイハツに続き、今年の6月からのトヨタ、マツダ、ホンダ、スズキの認証不正が明らかになった。なぜ、企業は不正を犯すのか。経営学が専門の立命館大学准教授の中原翔氏に聞いた。
2024/11/20
-
-
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2024/11/19
-
ランサム攻撃訓練の高度化でBCPを磨き上げる
大手生命保険会社の明治安田生命保険は、全社的サイバー訓練を強化・定期実施しています。ランサムウェア攻撃で引き起こされるシチュエーションを想定して課題を洗い出し、継続的な改善を行ってセキュリティー対策とBCPをブラッシュアップ。システムとネットワークが止まっても重要業務を継続できる態勢と仕組みの構築を目指します。
2024/11/17
-
-
セキュリティーを労働安全のごとく組織に根付かせる
エネルギープラント建設の日揮グループは、サイバーセキュリティーを組織文化に根付かせようと取り組んでいます。持ち株会社の日揮ホールディングスがITの運用ルールやセキュリティー活動を統括し、グループ全体にガバナンスを効かせる体制。守るべき情報と共有すべき情報が重なる建設業の特性を念頭に置き、人の意識に焦点をあてた対策を推し進めます。
2024/11/08
-
-
-
リスク対策.PROライト会員用ダウンロードページ
リスク対策.PROライト会員はこちらのページから最新号をダウンロードできます。
2024/11/05
-
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方