首都圏を中心に相次ぐ強盗事件では、実行役の多くがSNSの「闇バイト」をきっかけに犯罪に手を染めた。送迎や引っ越し業務など通常のアルバイト募集を装う投稿もあり、手口は巧妙化。警察当局は、簡単、高収入を強調したり、秘匿性の高い通信アプリに誘導したりする求人には「応募しないで」と強く呼び掛けている。
 「完全ホワイト即金案件」「違法性なし」。X(旧ツイッター)上には、高額バイトをうたう投稿が次々と現れる。こうした闇バイトが疑われる情報について、警察庁は民間に委託し、人工知能(AI)なども活用しつつサイト管理者らへの削除要請を行っている。今年上半期に確認された情報は8161件、削除は4000件以上に達した。
 同庁と都道府県警は、闇バイトが疑われるXの投稿に返信し、警告する取り組みも進める。「逮捕され、懲役などの刑罰を受ける可能性があります」といった内容で、警告後直ちに削除されるケースが多いという。
 ただ、しばらくすると別の新しい投稿がされるのが実態で、警察幹部は「対策は後手に回っている」と認める。別の幹部は「(応募者の目に留まる前に)いかに対応できるかが課題だ」と話す。
 一連の事件で逮捕された実行役の中には「高額案件 タクシー業務 書類運搬 日給5万円から」「即日払いのバイトがあります」などと業務内容をあいまいにしたまま募集する投稿に返信して、指示役と接触した者もいた。警察庁の担当者は「露骨な表現では応募者から警戒され、警察に削除されると考えているのでは」と話す。
 闇バイトは、匿名・流動型犯罪グループ(トクリュウ)が強盗や特殊詐欺などの実行役確保に多用しているとみられる。暴力的な動画を見せて応募者や家族を脅迫するケースもあるとされ、一度足を踏み入れると抜け出すことが難しい。ある警察幹部は「闇バイトは実行役をかもにするものと知ってほしい」と警鐘を鳴らしている。 

(ニュース提供元:時事通信社)