2024/10/26
防災・危機管理ニュース
【ソウル時事】ウクライナ当局によると、侵攻を支援するためロシア東部で訓練を受けた北朝鮮兵士の一部が前線に移動した。金正恩朝鮮労働党総書記は、軍の実戦経験の獲得と共に、ロシアから軍事技術や経済的対価を得られると考えているもようだ。韓国は、ロシアから北朝鮮への見返りが「安全保障上の重大な脅威になる」と危機感を募らせている。
韓国の情報機関、国家情報院(国情院)は北朝鮮による派兵の規模が12月ごろに約1万人に達すると予想。「暴風軍団」と呼ばれる特殊部隊をロシアに派遣したとみている。韓国メディアによれば、朝鮮半島有事初期に韓国に潜入して、主要施設を攻撃し、在韓米国人を人質に取る訓練を受けた精鋭部隊とされる。
韓国大統領府高官は、北朝鮮がロシアから核・ミサイル開発や軍事偵察衛星打ち上げ、老朽化した通常兵器の「現代化」の支援を期待していると指摘した。また、韓国メディアによると、国情院は、北朝鮮がロシアから兵士1人当たり月2000ドル(約30万円)ほどを得るとの見方を示す。北朝鮮の一般的な月収の数十倍に上る破格と言え、制裁やコロナ禍での国境封鎖で外貨収入が減った北朝鮮にとり大きなメリットとなる。
ただ、北朝鮮は朝鮮戦争(1950~53年)以降、大規模な地上戦力の派兵はなく、実戦能力は落ちているとみられる。さらに、意思疎通に困難が伴う他国の指揮系統に入る。国情院によると、北朝鮮兵の軍事訓練に参加したロシアの教官は「兵士の体力と士気は優れているが、無人機攻撃など現代戦への理解が足りず、戦線に投入されれば多数の死者が出る」と予想した。実際に死傷者が出れば北朝鮮内に動揺が広がる可能性もある。
北朝鮮の軍事力強化を懸念する韓国の尹錫悦大統領は24日、「ウクライナを段階的に支援し、朝鮮半島の安保上必要な措置を取る」と表明。ウクライナへの殺傷兵器の直接供給も「北朝鮮軍の活動に応じて柔軟に検討する」と警告した。
韓国大統領府高官は、ウクライナへの防御用兵器から始め、最終的に攻撃用兵器の支援も検討する方針を示す。戦闘機やミサイルを迎撃する韓国製地対空ミサイル「天弓」や砲弾の供与が選択肢にあると指摘される。
〔写真説明〕北朝鮮の金正恩朝鮮労働党総書記と特殊作戦部隊=2日、撮影場所不明(朝鮮中央通信が配信)(AFP時事)
(ニュース提供元:時事通信社)
防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
-
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2024/12/24
-
-
-
能登の二重被災が語る日本の災害脆弱性
2024 年、能登半島は二つの大きな災害に見舞われました。この多重被災から見えてくる脆弱性は、国全体の問題が能登という地域で集約的に顕在化したもの。能登の姿は明日の日本の姿にほかなりません。近い将来必ず起きる大規模災害への教訓として、能登で何が起きたのかを、金沢大学准教授の青木賢人氏に聞きました。
2024/12/22
-
製品供給は継続もたった1つの部品が再開を左右危機に備えたリソースの見直し
2022年3月、素材メーカーのADEKAの福島・相馬工場が震度6強の福島県沖地震で製品の生産が停止した。2009年からBCMに取り組んできた同工場にとって、東日本大震災以来の被害。復旧までの期間を左右したのは、たった1つの部品だ。BCPによる備えで製品の供給は滞りなく続けられたが、新たな課題も明らかになった。
2024/12/20
-
企業には社会的不正を発生させる素地がある
2024年も残すところわずか10日。産業界に最大の衝撃を与えたのはトヨタの認証不正だろう。グループ会社のダイハツや日野自動車での不正発覚に続き、後を追うかたちとなった。明治大学商学部専任講師の會澤綾子氏によれば企業不正には3つの特徴があり、その一つである社会的不正が注目されているという。會澤氏に、なぜ企業不正は止まないのかを聞いた。
2024/12/20
-
-
-
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方