【エルサレム、ワシントン時事】イスラエル軍によるレバノン南部への地上侵攻に関し、米NBCテレビは30日、早ければ現地時間10月1日にも作戦を開始する可能性があるとイスラエルが米国に伝えたと報じた。複数の米当局者の話として伝えた。レバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラの部隊を国境地帯から撤退させることなどが狙いという。
 当局者は、地域を絞った数日間の作戦だと説明した。イスラエル政府は、ヒズボラの攻撃により避難を余儀なくされた住民の帰還を掲げている。実際に地上部隊をレバノンに展開すれば、約1年間にわたって続いた国境を挟んだ交戦は、新たな局面を迎える。さらに激しい応酬に発展する恐れもあり、情勢は一段と緊迫している。
 イスラエルのガラント国防相は9月30日、「ヒズボラとの戦争における次の段階が間もなく開始される」と語った。イスラエル軍は、レバノンと接する同国北部の一部地域を封鎖。米ニューヨーク・タイムズは、イスラエル軍の予備役兵が北部に集結していると報じた。
 ロイター通信によると、レバノン軍は国境から少なくとも5キロ地点まで撤退した。レバノンのメディアは、イスラエル側から国境付近に激しい砲撃があったと報じた。
 イスラエル軍は既に、レバノン領内に一時侵入したと報じられていた。米国務省のミラー報道官は30日の記者会見で報道に関し、イスラエル側から国境付近のヒズボラのインフラ施設を標的にした「限定的な作戦」だったとの説明を受けたと明らかにした。
 これに先立ち、バイデン米大統領は30日、ホワイトハウスで記者団に対し、イスラエル軍によるレバノン侵攻に関し、「中止する方が良い。今こそ停戦すべきだ」と強調。バイデン政権は外交的解決に向け、イスラエルとヒズボラ双方に自制を求めていく構えだ。 
〔写真説明〕30日、イスラエルの砲撃でレバノン南部に上がる火の手(EPA時事)

(ニュース提供元:時事通信社)