2024/09/24
実務課題の超ヒント
危機管理担当者の難問・疑問にお答えします
「危機時の広報はどう連携する?」「DXで危機管理担当者の不足は解消する?」など、企業のリスク管理・危機管理担当者はさまざまな疑問を抱えながら業務にあたっている。本紙はこの半年間で聞いた読者の声を集約、代表的な「Q(Question)」を設定し、危機管理に詳しいコンサルタントに提示して「A(Answer)」をもらった。担当者が抱える難問・疑問の答えは――。実務課題の超ヒント、リスク管理・危機管理編の後編をお届けする。
危機管理担当者の難問・疑問に答えてくれたみなさん
トラストワンコンサルタンツ代表
1991年から大手IT企業に勤務。システム開発チームリーダーとして活動し、2005年にコンサルタント部門に異動。製造業、アパレル、卸業、給食、エンジニアリング、不動産、官公庁などのコンサルティングを手がけ、2020年に独立。
多田芳昭さん
LogIN ラボ代表
一部上場企業でセキュリティー事業に従事、システム開発子会社代表、データ運用工場長職、セキュリティー管理本部長職、関連製造系調達部門長職を歴任し、2020年にLogINラボを設立しコンサル事業活動中。
林田朋之さん
プリンシプルBCP 研究所所長
北海道大学大学院修了後、富士通を経て、米シスコシステムズ入社。独立コンサルタントとして企業の IT、情報セキュリティー、危機管理、自然災害、新型インフルエンザ等のBCPコンサルティング業務に携わる。
本田茂樹さん
ミネルヴァベリタス株式会社顧問
三井住友海上火災保険、MS&ADインターリスク総研での勤務を経て、現職。企業や組織を対象に、リスクマネジメントおよび危機管理に関するコンサルティング、執筆活動を続ける一方で、全国での講演活動も行っている。
広報部門はあるが危機時の広報マニュアルがない
→Answer
危機広報の体制と役割を平時に決めておく
ザックリいうと、IR部門はインシデントによる経営への影響を発信する役割。被害金額はどのくらいか、売上数字はどうなるのかなどを対外的に発表します。一方、いわゆる広報部門は、いま起きている事態を現在進行形で発信する役割。地震であれば、どの工場がどうなっているのか、出荷はどうなっているのかなどを、ホームページ等で発表します。
そうした役まわりと連携の取り方を、あらかじめ決めておきましょう。平時に決めておかないと、いざインシデントが発生してからでは間に合いません。そしてその体制と仕組みが機能するかどうか、なかなか難しいと思いますので、訓練もしておいたほうがよいでしょう。
【本田茂樹】
→Answer
対応組織をつくりガイドラインを作成
災害時広報というインシデント対応組織あるいは担当者をつくり、最初の仕事として、災害時広報のガイドライン策定を行うことを推奨します。
対策本部事務局などの危機管理担当(総務等)と相談しながら、災害時にどのような広報をすべきかを考えます。例えば顧客や取引先などが、有事に貴社に発信してほしい情報とは何かを考えることから始めます。
一般的には、被災状況、復旧のための仕組み、復旧の時系列情報、代替手段の提示、完全復旧の見込みなど。これらはどの業種・業態でも求められるものだと思われます。
【林田朋之】
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