2024/08/30
防災・危機管理ニュース
【バンコク時事】タイ下院(定数500)の最大野党・国民党のナタポーン党首(37)が28日、バンコクで時事通信のインタビューに応じ、「2027年にも実施される総選挙で勝利し、全面的な憲法改正などの改革を実行する」と語った。国民党は、憲法裁判所から解党処分を受けた前進党の後継として9日に発足したばかりで、所属議員は143人。党首が日本メディアの単独取材を受けたのは初めて。
前進党は、王室に対する不敬罪を定めた刑法の一部改正を昨年の総選挙で公約に掲げたことが「国家転覆に当たる」と判断された。憲法裁は、14日には閣僚人事を巡り、最大与党・タイ貢献党のセター首相も失職させている。
ナタポーン氏は「閣僚の任命だけで首相が失職し、政党も簡単に解散させられるのは異常。政治の安定化には憲法裁の権限を見直す憲法改正が必要だ」と指摘。「タイでは国民が権力を持っていない。(下院の任期が終わる)27年にも行われる選挙が重要な転換点となる。単独で過半数を獲得して政権を樹立し、抜本的な改革を進める」と強調した。
前進党解党の要因となった不敬罪については「表現の自由に関わる問題で、改正するという主張を取り下げれば多くの人の信頼を失う。ただ、慎重に進める必要がある」と述べた。
不敬罪を巡っては、21年に国会に提出された刑法改正案に署名したナタポーン氏ら当時の前進党議員44人が国家汚職追放委員会(NACC)から訴追され、政治活動を生涯禁止される可能性がある。ナタポーン氏は「NACCの調査では、国民の権利と自由を守るために署名したとしっかり説明する」と訴えた。
日本についても「われわれは中央集権的な政府を変えたいと思っている。日本には優れた地方分権の仕組みがあり、学ぶ必要がある」と言及した。
〔写真説明〕時事通信のインタビューに応じるタイ下院の最大野党・国民党のナタポーン党首=28日、バンコク
(ニュース提供元:時事通信社)

- keyword
- タイ
防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
-
常識をくつがえす山火事世界各地で増える森林火災
2025年、日本各地で発生した大規模な山火事は、これまでの常識をくつがえした。山火事に詳しい日本大学の串田圭司教授は「かつてないほどの面積が燃え、被害が拡大した」と語る。なぜ、山火事は広がったのだろうか。
2025/04/23
-
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/04/22
-
帰宅困難者へ寄り添い安心を提供する
BCPを「非常時だけの取り組み」ととらえると、対策もコストも必要最小限になりがち。しかし「企業価値向上の取り組み」ととらえると、可能性は大きく広がります。西武鉄道は2025年度、災害直後に帰宅困難者・滞留者に駅のスペースを開放。立ち寄りサービスや一時待機場所を提供する「駅まちレジリエンス」プロジェクトを本格化します。
2025/04/21
-
-
大阪・関西万博 多難なスタート会場外のリスクにも注視
4月13日、大阪・関西万博が開幕した。約14万1000人が訪れた初日は、通信障害により入場チケットであるQRコード表示に手間取り、入場のために長蛇の列が続いた。インドなど5カ国のパビリオンは工事の遅れで未完成のまま。雨にも見舞われる、多難なスタートとなった。東京オリンピックに続くこの大規模イベントは、開催期間が半年間にもおよぶ。大阪・関西万博のリスクについて、テロ対策や危機管理が専門の板橋功氏に聞いた。
2025/04/15
-
BCMSで社会的供給責任を果たせる体制づくり能登半島地震を機に見直し図り新規訓練を導入
日本精工(東京都品川区、市井明俊代表執行役社長・CEO)は、2024年元日に発生した能登半島地震で、直接的な被害を受けたわけではない。しかし、増加した製品ニーズに応え、社会的供給責任を果たした。また、被害がなくとも明らかになった課題を直視し、対策を進めている。
2025/04/15
-
-
生コン・アスファルト工場の早期再稼働を支援
能登半島地震では、初動や支援における道路の重要性が再認識されました。寸断箇所の啓開にあたる建設業者の尽力はもちろんですが、その後の応急復旧には補修資材が欠かせません。大手プラントメーカーの日工は2025年度、取引先の生コン・アスファルト工場が資材供給を継続するための支援強化に乗り出します。
2025/04/14
-
新任担当者でもすぐに対応できる「アクション・カード」の作り方
4月は人事異動が多く、新たにBCPや防災を担当する人が増える時期である。いざというときの初動を、新任担当者であっても、少しでも早く、そして正確に進められるようにするために、有効なツールとして注目されているのが「アクション・カード」だ。アクション・カードは、災害や緊急事態が発生した際に「誰が・何を・どの順番で行うか」を一覧化した小さなカード形式のツールで、近年では医療機関や行政、企業など幅広い組織で採用されている。
2025/04/12
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方