国土交通省は2025年度、気候変動に伴って災害リスクが増大する中、官民連携による港湾浸水対策への財政支援に乗り出す。護岸や岸壁といった施設の管理主体は官民にまたがっていることから、関係者を交えた協議会を立ち上げて対策を進める自治体を後押しする。また、計画的に護岸のかさ上げをする民間企業への税制優遇措置も設ける。来年度予算概算要求や税制改正要望に盛り込む。
 海面上昇により、高潮や高波災害の激甚化が懸念される。港湾の一部でも対策が不十分な箇所があれば浸水被害が拡大し、産業や物流を支える港湾機能が打撃を受ける恐れがある。
 そこで、国交省は今年3月に打ち出した「協働防護」という新たな浸水対策を推進。港湾施設を管理する官民の各機関が共通の目標を持ちながら、必要な整備を進められるようにする。具体的には、財政支援を通じ、多様な関係者が護岸のかさ上げの時期や水準について合意を形成する協議会を立ち上げるとともに、計画を策定することを促す。また、リスク認識を共有するための浸水想定の作成費用を含めた支援も探る。
 このほか、協議会での合意に基づいて民間企業が防潮堤や堤防を含む港湾施設を整備した場合、26年度から固定資産税の課税標準を5年間にわたり2分の1に軽減する措置を検討する。 
〔写真説明〕台風7号の影響で堤防に押し寄せる高波=2023年8月14日、三重県紀宝町

(ニュース提供元:時事通信社)