国際協力機構(JICA)と外国人労働者の権利確保に取り組む一般社団法人「JP―MIRAI」は、外国人技能実習生の負担軽減に向けた枠組みの対象国をインドネシアなどアジアの数カ国に広げる方向で調整に入った。実習生が来日時に支払う仲介手数料などを日本企業が負担することが柱。優秀な外国人材の確保と人権保護が狙いで、各国政府との間で年内の合意を目指す。
 枠組みは「公正で倫理的なリクルートイニシアチブ」。実習生に手数料を負担させないことなどを盛り込んだガイドライン(指針)を定め、これに適合する求人を認証する仕組みだ。JICAなどは6月、ベトナムとの間で同様の枠組みの創設で合意し、11月の運用開始を目指している。新たな対象国としてインドネシア、ネパールなどを検討している。
 指針は、募集・あっせん時の手数料のほか、日本語研修の費用などについて、日本企業が全額負担することを規定。例外として、各国の法制度を踏まえ日本企業の負担を50%以上とすることも検討する。海外の「送り出し機関」に対し、企業への過剰な接待や金銭提供の禁止も定める。
 指針には法的な拘束力はないが、順守すれば送り出し機関の信用が高まるメリットがある。日本企業も優良な機関を選び、人材を確保できることになる。
 枠組みを運用するJP―MIRAIにはトヨタ自動車やセブン&アイ・ホールディングスなど民間企業や業界団体などが参加している。各国への拡大もJP―MIRAIが主体となって行う。
 技能実習制度を巡っては、実習生が多額の手数料を支払い借金を抱えて来日する実態があり、国内外から批判されていた。先の通常国会で改正入管難民法などが成立し、技能実習制度に代わる新制度「育成就労」が始まる。新制度は手数料が不当に高額とならない仕組みを盛り込んだが、具体的な基準は明らかになっていない。 

(ニュース提供元:時事通信社)