2024/07/23
防災・危機管理ニュース
【ワシントン時事】米国防総省は22日、北極圏に関する戦略文書を発表した。中国とロシアの連携強化が「北極圏の安定と脅威の構図を変える可能性がある」と警戒。地政学的変化に対応するには「新たな戦略的アプローチが必要だ」として、同盟国やパートナーと協力して安定維持を図る方針を示した。
北極圏では、気候変動の影響で海氷が減少し、資源開発や新たな航路開拓を巡る各国の競争が激化している。米国は砕氷船建造が進まず、ロシアなどに比べて出遅れを批判されている。
戦略では、ロシアを「北極圏で最も発達した軍事力を持っている」と分析し、「米本土や同盟国の領土を危険にさらす可能性がある」と懸念を示した。中国については「長期計画の中で影響力と活動の拡大を図っている」と指摘した。
2022、23両年に中ロ両海軍が米アラスカ州沖で合同パトロールを実施したほか、中国海警局とロシア連邦保安局(FSB)が協力で合意したと例示。両国の連携が北極圏での中国のさらなる影響力拡大につながる恐れがあると警鐘を鳴らした。
これを踏まえ、国防総省は戦略の中で「監視と対応」のアプローチを採用すると表明。北極圏での情報収集能力を高めるほか、米軍部隊の訓練などを通じて即応態勢を強化すると明記した。
北欧のスウェーデンとフィンランドが北大西洋条約機構(NATO)に加盟し、「北極圏8カ国のうち、米国を含む7カ国がNATO加盟国になったことで安全保障態勢が強化された」とも説明。同盟国や北極圏の先住民族などと連携し、「安全と国益を守るために一丸となって取り組む」との姿勢を打ち出した。
〔写真説明〕北極圏での北大西洋条約機構(NATO)合同軍事演習に参加する米軍兵士=3月8日、ノルウェー北部アルタ(AFP時事)
(ニュース提供元:時事通信社)

防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/04/01
-
-
-
-
-
全社員が「リスクオーナー」リーダーに実践教育
エイブルホールディングス(東京都港区、平田竜史代表取締役社長)は、組織的なリスクマネジメント文化を育むために、土台となる組織風土の構築を進める。全役職員をリスクオーナーに位置づけてリスクマネジメントの自覚を高め、多彩な研修で役職に合致したレベルアップを目指す。
2025/03/18
-
ソリューションを提示しても経営には響かない
企業を取り巻くデジタルリスクはますます多様化。サイバー攻撃や内部からの情報漏えいのような従来型リスクが進展の様相を見せる一方で、生成 AI のような最新テクノロジーの登場や、国際政治の再編による世界的なパワーバランスの変動への対応が求められている。2025 年のデジタルリスク管理における重要ポイントはどこか。ガートナージャパンでセキュリティーとプライバシー領域の調査、分析を担当する礒田優一氏に聞いた。
2025/03/17
-
-
-
なぜ下請法の勧告が急増しているのか?公取委が注視する金型の無料保管と下請代金の減額
2024年度は下請法の勧告件数が17件と、直近10年で最多を昨年に続き更新している。急増しているのが金型の保管に関する勧告だ。大手ポンプメーカーの荏原製作所、自動車メーカーのトヨタや日産の子会社などへの勧告が相次いだ。また、家電量販店のビックカメラは支払代金の不当な減額で、出版ではKADOKAWAが買いたたきで勧告を受けた。なぜ、下請法による勧告が増えているのか。独占禁止法と下請法に詳しい日比谷総合法律事務所の多田敏明弁護士に聞いた。
2025/03/14
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方