日本と太平洋島しょ国・地域による首脳会議「太平洋・島サミット」は18日、東京都内のホテルで全体会合を開き、気候変動など7分野の協力項目を盛り込んだ首脳宣言と共同行動計画を採択して閉幕した。宣言には、南太平洋地域で活動を活発化させる中国を念頭に「武力の行使または威圧による一方的な現状変更の試みに強く反対する」と明記した。
 岸田文雄首相は共同記者発表で「法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の維持・強化に向けた島しょ国との連携の重要性は高まっている」と強調。東京電力福島第1原発の処理水海洋放出に関する情報共有を進めると述べた。共同議長を務めるクック諸島のブラウン首相は引き続き丁寧な説明を求め、「(今後の島)サミットで定期的に議題として取り上げていく」と指摘した。
 岸田首相は気候変動問題を「島しょ国存続に関わる唯一最大の脅威」と位置付け、防災能力の強化、脱炭素への協力を進めると表明。日本の気象衛星「ひまわり」の観測データを活用した気象能力強化、災害復興関連機材やインフラ整備を行う。防災分野での人材育成支援も強化する。
 首相はサイバーセキュリティーを含むデジタル人材育成、海底ケーブル敷設などの支援を言明。「今後3年間で6500人以上の人的交流・人材育成」に取り組む方針を明らかにした。
 共同行動計画では、自衛隊の航空機や艦艇による島しょ国への寄港を通じ、防衛協力を強化する方針を掲げた。防衛装備品を無償供与する枠組み「政府安全保障能力強化支援(OSA)」の活用検討も盛り込んだ。 
〔写真説明〕「太平洋・島サミット」の全体会合を終え、共同議長のクック諸島・ブラウン首相(左)と記者発表に臨む岸田文雄首相=18日午後、東京都港区
〔写真説明〕「太平洋・島サミット」に参加した各国首脳らとの記念撮影に応じる岸田文雄首相(前列右から5人目)=18日午後、東京都港区

(ニュース提供元:時事通信社)