2024/05/20
防災・危機管理ニュース
【イスタンブール時事】イラン北西部でライシ大統領やアブドラヒアン外相らを乗せたヘリコプターが19日に不時着した事故で、イラン国営メディアは20日、ライシ師やアブドラヒアン氏が死亡したと伝えた。マンスーリ副大統領はX(旧ツイッター)に犠牲者を追悼する投稿を行い、ライシ師の死亡を事実上認めた。
イラン赤新月社当局者は、ヘリの機体が山間部で発見されたと語った。地元メディアが報じた上空からの映像では、緑色の木々が生い茂る中に黒く焦げた地点が浮かび、機体は完全に焼け焦げた状態とみられるという。
イラン当局は一夜明けた20日も、軍や精鋭軍事組織「革命防衛隊」を動員して機体の捜索を継続。山あいの現場は陸路で近づくのが難しく、濃霧などの悪天候で上空からの捜索は難航した。トルコのアナトリア通信は20日、トルコが派遣したドローンが機体から発せられたとみられる熱源を山中で感知し、イラン当局と情報を共有したと報じていた。
イランの最高指導者ハメネイ師は19日、「敬愛する大統領らを神が国家の手に戻してくれることを望む」と述べた上で、「国が混乱することはなく、心配する必要はない」と国民に平静を呼び掛けた。イランの憲法の規定では、大統領が在職中に死去などで不在となった場合、第1副大統領が最高指導者の合意を得て大統領の職務を代行。50日以内に大統領選挙が行われる。
ライシ師は19日にアゼルバイジャンとの国境地帯を訪れ、同国との協力で建設したダムの完成式に出席。その帰途に事故に見舞われた。バヒディ内相は、不時着は「悪天候が原因」としている。
〔写真説明〕20日、イラン北西部東アゼルバイジャン州の上空から見たヘリコプターが不時着した現場(イラン赤新月社提供映像より)(AFP時事)
〔写真説明〕19日、イラン北西部の国境地帯で、ライシ大統領を乗せて離陸するヘリコプター=国営イラン通信が配信(EPA時事)
(ニュース提供元:時事通信社)


- keyword
- イラン
防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
-
常識をくつがえす山火事世界各地で増える森林火災
2025年、日本各地で発生した大規模な山火事は、これまでの常識をくつがえした。山火事に詳しい日本大学の串田圭司教授は「かつてないほどの面積が燃え、被害が拡大した」と語る。なぜ、山火事は広がったのだろうか。
2025/04/23
-
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/04/22
-
帰宅困難者へ寄り添い安心を提供する
BCPを「非常時だけの取り組み」ととらえると、対策もコストも必要最小限になりがち。しかし「企業価値向上の取り組み」ととらえると、可能性は大きく広がります。西武鉄道は2025年度、災害直後に帰宅困難者・滞留者に駅のスペースを開放。立ち寄りサービスや一時待機場所を提供する「駅まちレジリエンス」プロジェクトを本格化します。
2025/04/21
-
-
大阪・関西万博 多難なスタート会場外のリスクにも注視
4月13日、大阪・関西万博が開幕した。約14万1000人が訪れた初日は、通信障害により入場チケットであるQRコード表示に手間取り、入場のために長蛇の列が続いた。インドなど5カ国のパビリオンは工事の遅れで未完成のまま。雨にも見舞われる、多難なスタートとなった。東京オリンピックに続くこの大規模イベントは、開催期間が半年間にもおよぶ。大阪・関西万博のリスクについて、テロ対策や危機管理が専門の板橋功氏に聞いた。
2025/04/15
-
BCMSで社会的供給責任を果たせる体制づくり能登半島地震を機に見直し図り新規訓練を導入
日本精工(東京都品川区、市井明俊代表執行役社長・CEO)は、2024年元日に発生した能登半島地震で、直接的な被害を受けたわけではない。しかし、増加した製品ニーズに応え、社会的供給責任を果たした。また、被害がなくとも明らかになった課題を直視し、対策を進めている。
2025/04/15
-
-
生コン・アスファルト工場の早期再稼働を支援
能登半島地震では、初動や支援における道路の重要性が再認識されました。寸断箇所の啓開にあたる建設業者の尽力はもちろんですが、その後の応急復旧には補修資材が欠かせません。大手プラントメーカーの日工は2025年度、取引先の生コン・アスファルト工場が資材供給を継続するための支援強化に乗り出します。
2025/04/14
-
新任担当者でもすぐに対応できる「アクション・カード」の作り方
4月は人事異動が多く、新たにBCPや防災を担当する人が増える時期である。いざというときの初動を、新任担当者であっても、少しでも早く、そして正確に進められるようにするために、有効なツールとして注目されているのが「アクション・カード」だ。アクション・カードは、災害や緊急事態が発生した際に「誰が・何を・どの順番で行うか」を一覧化した小さなカード形式のツールで、近年では医療機関や行政、企業など幅広い組織で採用されている。
2025/04/12
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方