2024/05/17
防災・危機管理ニュース
【カイロ時事】イスラエル軍がパレスチナ自治区ガザ最南部ラファの対エジプト検問所を制圧したことで、イスラエルとエジプトの関係が緊張している。イスラエルはラファ本格侵攻を強行する構えを崩しておらず、両国の対立が続けばガザへの支援物資搬入や、エジプトが仲介するイスラム組織ハマスとの休戦交渉への影響は必至だ。
イスラエル軍は7日、ラファ東部への「限定的」な地上作戦を実施し、武器密輸を防ぐためとして検問所を掌握。これに反発したエジプトは、ガザへの支援物資搬入に関するイスラエルとの調整を拒否したとされる。検問所は閉鎖され、ガザの人道状況の一層の悪化に懸念が高まっている。
エジプトのシュクリ外相は14日、物資輸送の安全が確保できないとした上で、「(ガザの)人道危機の責任は唯一イスラエルにある」と批判。イスラエルのネタニヤフ首相は15日、閉鎖に関し、「われわれの問題ではない」と語り、エジプト側に責任があると主張した。
エジプトはかねて、ラファ侵攻によりガザ住民が自国に流入することを警戒してきた。イスラエルは、数週間かけて住民退避を完了すると約束し、地上作戦による検問所への影響はないとエジプト側に説明してきたとされるが、避難勧告の翌日に検問所の制圧を発表。イスラエルは作戦の数時間前に通告したというが、不意を突かれた形のエジプトは不信感を強めたとみられる。
イスラエルとエジプトは1979年に平和条約を締結した。しかし、エジプト側は外交関係「格下げ」を検討していると報じられている。エジプトのファハミ前外相は時事通信の取材に、両国関係は条約締結以降、「最も緊張が高まっている」と指摘した。
イスラエル当局者は地元メディアに、エジプトがハマスとの間接交渉から離脱する可能性に言及した。イスラエルは15日、関係修復を目指し代表団をエジプトに派遣したが、進展はなかったと伝えられている。
〔写真説明〕パレスチナ自治区ガザ最南部ラファの対エジプト検問所に展開するイスラエル軍車両=7日(ロイター時事)
(ニュース提供元:時事通信社)
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