2024/05/12
防災・危機管理ニュース
【ワシントン時事】中国系短編動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」を禁止する米国の法律を巡り、米運営会社と中国の親会社、字節跳動(バイトダンス)は米政府を提訴し、全面対決の構えだ。米政権や議会では、米国に関するデータの中国政府への流出や情報操作への悪用といった安全保障上の懸念が根強い。バイトダンスは「具体的な証拠を示していない」と禁止法に猛反発。法律は、憲法が保障する表現の自由を侵害していると主張している。
同法は、バイトダンスがティックトックの米事業を売却しなければ、米国内でのアプリ配信を禁じる内容で、4月に成立した。
米国が懸念するのは、2017年に施行された中国の国家情報法。当局への協力を中国企業に義務付けており、バイトダンスは中国当局から欧米のデータ提出や情報操作への協力を求められれば、拒めないとの見方が多い。22年に運営会社従業員による欧米記者に関する個人情報の不正収集が発覚したことも疑念を呼んだ。
米メディアによると、昨秋にイスラエルとイスラム組織ハマスの軍事衝突が始まった後、ティックトック上でパレスチナ寄りの動画が増えたとの見方が浮上。米議会では、世論操作に利用されるとの危機感が一段と高まったという。
米連邦捜査局(FBI)のレイ長官は、法案審議中の今年3月、上院公聴会で「バイトダンスはどう見ても、中国共産党の影響下にある」との見解を表明。意図的に偏った動画を流すなど、情報操作に利用されても「把握は非常に困難。そのことが安保上の懸念を重大なものにしている」と指摘した。
バイトダンスは訴状で、同社株の約6割は欧米の資産運用会社などが保有しており、自社はグローバル企業だと反論。中国への情報流出という安保上の懸念の根拠が弱く、「表現の自由に重荷を課すのは完全に不当だ」と訴えている。
(ニュース提供元:時事通信社)
防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
-
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2024/12/24
-
-
-
能登の二重被災が語る日本の災害脆弱性
2024 年、能登半島は二つの大きな災害に見舞われました。この多重被災から見えてくる脆弱性は、国全体の問題が能登という地域で集約的に顕在化したもの。能登の姿は明日の日本の姿にほかなりません。近い将来必ず起きる大規模災害への教訓として、能登で何が起きたのかを、金沢大学准教授の青木賢人氏に聞きました。
2024/12/22
-
製品供給は継続もたった1つの部品が再開を左右危機に備えたリソースの見直し
2022年3月、素材メーカーのADEKAの福島・相馬工場が震度6強の福島県沖地震で製品の生産が停止した。2009年からBCMに取り組んできた同工場にとって、東日本大震災以来の被害。復旧までの期間を左右したのは、たった1つの部品だ。BCPによる備えで製品の供給は滞りなく続けられたが、新たな課題も明らかになった。
2024/12/20
-
企業には社会的不正を発生させる素地がある
2024年も残すところわずか10日。産業界に最大の衝撃を与えたのはトヨタの認証不正だろう。グループ会社のダイハツや日野自動車での不正発覚に続き、後を追うかたちとなった。明治大学商学部専任講師の會澤綾子氏によれば企業不正には3つの特徴があり、その一つである社会的不正が注目されているという。會澤氏に、なぜ企業不正は止まないのかを聞いた。
2024/12/20
-
-
-
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方