2024/04/21
防災・危機管理ニュース
20日夜、東京・伊豆諸島の鳥島東約280キロの洋上で訓練していた海上自衛隊のヘリコプター「SH60K」2機が行方不明となった。フライトレコーダーなどが近接した場所で見つかり、防衛省は2機が墜落したと断定。空中で衝突したとみて、詳しい状況を調べている。
2機には計8人が搭乗しており、このうち1人が救助されたが、死亡が確認された。自衛隊は艦艇やヘリ、航空機を多数投入し、海上保安庁の応援も得て残る7人の捜索を続ける。
海自によると、行方不明になっているのは長崎県の大村航空基地に所属する機体(機長・松田拓也3等海佐)と、徳島県の小松島航空基地所属のもう1機(機長・板村一輝3佐)。ともに4人乗りで、機長の他に副機長とレーダーやソナーを操作する航空士2人ずつが搭乗していた。海自は死亡が確認された1人の身元特定を進める。
20日午後10時38分に松田機長のヘリと連絡が取れなくなり、同39分に緊急信号を受信。午後11時4分には板村機長の機体の不明も判明した。ソナーで潜水艦を探知する夜間訓練を実施中で、レーダー記録などから両機が近接して飛行していたことを確認。フライトレコーダーはすぐ近い海域で発見され、海自は2機が空中で衝突して墜落した可能性が高いと判断した。他にローターブレードなど機体の一部や乗員用のヘルメット数個が見つかったという。
海自は同じ訓練に参加した別のヘリから状況を聞き取るとともに、回収したフライトレコーダーを海自内の解析機関に運んで詳しい分析を急ぐ。約80機保有する同系統のヘリについては当面の間、訓練飛行を停止する。
現場付近の当時の天候は晴れで、視界や風速に問題はなく、機体の異常も確認されていないという。現場海域は水深約5500メートルあり、機体の捜索や回収は難航が予想される。
海自制服組トップの酒井良海上幕僚長は21日午後、臨時記者会見を開き、事故について謝罪。「夜間の難しい訓練ではあるが、安全対策が取られていれば事故は防げたはずだ。しっかりと検証したい」と話した。
〔写真説明〕海上自衛隊のSH60Kヘリコプター(海上自衛隊ホームページより)
〔写真説明〕回収された哨戒ヘリコプター「SH60K」の機体の一部と思われるもの。フライトレコーダー(海上自衛隊提供)
〔写真説明〕回収された哨戒ヘリコプター「SH60K」の機体の一部と思われるもの。破損したメインローターの断面拡大(海上自衛隊提供)
(ニュース提供元:時事通信社)



- keyword
- 航空事故
防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/04/01
-
-
-
-
-
全社員が「リスクオーナー」リーダーに実践教育
エイブルホールディングス(東京都港区、平田竜史代表取締役社長)は、組織的なリスクマネジメント文化を育むために、土台となる組織風土の構築を進める。全役職員をリスクオーナーに位置づけてリスクマネジメントの自覚を高め、多彩な研修で役職に合致したレベルアップを目指す。
2025/03/18
-
ソリューションを提示しても経営には響かない
企業を取り巻くデジタルリスクはますます多様化。サイバー攻撃や内部からの情報漏えいのような従来型リスクが進展の様相を見せる一方で、生成 AI のような最新テクノロジーの登場や、国際政治の再編による世界的なパワーバランスの変動への対応が求められている。2025 年のデジタルリスク管理における重要ポイントはどこか。ガートナージャパンでセキュリティーとプライバシー領域の調査、分析を担当する礒田優一氏に聞いた。
2025/03/17
-
-
-
なぜ下請法の勧告が急増しているのか?公取委が注視する金型の無料保管と下請代金の減額
2024年度は下請法の勧告件数が17件と、直近10年で最多を昨年に続き更新している。急増しているのが金型の保管に関する勧告だ。大手ポンプメーカーの荏原製作所、自動車メーカーのトヨタや日産の子会社などへの勧告が相次いだ。また、家電量販店のビックカメラは支払代金の不当な減額で、出版ではKADOKAWAが買いたたきで勧告を受けた。なぜ、下請法による勧告が増えているのか。独占禁止法と下請法に詳しい日比谷総合法律事務所の多田敏明弁護士に聞いた。
2025/03/14
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方