日銀は18、19両日に開く金融政策決定会合で、マイナス金利政策を解除する方向で最終調整に入った。15日に連合が公表した2024年春闘の回答集計で、前年を大幅に超える賃上げ動向を確認。2%の物価上昇目標の持続的・安定的な実現が見通せる状況になったとの見方を強めている。
 連合が15日公表した春闘の第1回回答集計によると、平均賃上げ率は5.28%となり、前年同時点の3.80%を大きく上回った。日銀は、賃金と物価がともに上昇する「好循環」実現の確度が一段と高まったとみている。
 マイナス金利を解除すれば07年2月以来、17年ぶりの利上げとなる。長期金利を0%に誘導する長短金利操作の撤廃も検討。11年続く異例の大規模緩和の出口が視野に入った。
 政策修正に当たり、日銀は今春闘での賃上げ動向を「ひとつの大きなポイント」(植田和男総裁)と位置付けていた。13日の集中回答では、大企業から満額回答が続出。日銀は、大企業の積極的な賃上げ姿勢は中小企業にも波及し、深刻な人手不足の中、人材確保のためにも賃上げの波は大きく広がるとみている。
 足元の個人消費は物価高による節約志向の高まりで、弱い動きが続く。ただ、日銀は、高水準の賃上げが実現し、所得環境の改善が進めば、消費の腰折れは回避でき、景気は緩やかな回復が続くと想定している。 
〔写真説明〕日銀本店=東京都中央区(AFP時事)

(ニュース提供元:時事通信社)