損保ジャパンと親会社のSOMPOホールディングスは、ビッグモーターによる自動車保険の不正請求問題について記者会見を1月26日に開催しました。1月16日に最終報告書が提出され、金融庁からも25日に業務改善命令が出されました。
記者会見では、損保ジャパンの白川儀一社長が1月末で辞任し、櫻田謙悟会長兼CEOが3月末で退任する発表もありました。筆者がこの問題で着目したのは最終報告書で明らかにならなかったこと。加えて、会見出席者から推測できる今後の説明責任の変化です。
損保ジャパンは何を批判されたのか
中古車販売大手のビッグモーターが事故車両の損傷修理費用を不正請求していた問題が大きく報道されたのは2023年7月。費用の水増し、虚偽や架空記載のみならず、意図的にゴルフボールで車体を傷つけることを繰り返していたことがビッグモーター社による調査報告書で明らかになり、ビッグモーター社も記者会見を行いました。
損保ジャパンが批判されたのは、2022年にビッグモーターの不正の情報を得て東京海上日動火災保険、三井住友海上火災保険とともに3社が一旦取引を停止したのに、同社のみが追加調査せず早々に取引を再開したからです。
これが①顧客軽視、②損保ジャパン出向者の不正関与、③損保ジャパンの持ち株会社であるSOMPOホールディングスはチェック機能不全などの批判を引き起こします。
そして、2023年8月7日にSOMPOホールディングスによって第三者委員会が設置され、今年1月16日に最終報告書が発表されるに至りました。
報告書では、損保ジャパンからビッグモーターへの出向者は、不正そのものに関与していなかったものの、ビッグモーターによる組織的な不正を知った後の対応に問題がありました。初動での失敗、クライシスコミュニケーションの問題です。
中間報告書と最終報告書において、筆者が感じた最大の疑問は、社内での情報共有の問題は指摘しているものの、どの時点で共有すべきであったのかを指摘していない点です。
ビッグモーターは損保ジャパンからすると120億円の大手取引先であるのだから、本来なら1月の情報提供の時点、遅くとも3月のサンプル調査の時点で社長が知るべきリスク案件だった、と厳しく指摘することこそ今後の教訓になると考えます。
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