トレーラー型移動式水洗トイレを長野市から珠洲市へ輸送(写真:カンバーランド・ジャパン)

トレーラーハウス製造・販売のカンバーランド・ジャパン(長野県長野市、原田英世社長)は1月7日~8日、避難生活が続く能登半島地震の被災地を支援するため、移動式水洗トイレを石川県珠洲市に輸送、設置した。

トレーラーハウスに洋式便器2基と手洗い、子ども用シートを組み込んだ自己処理型のトイレ。汚れた水をフィルターで分解・浄化しながら、タンクに積んだ約3000リットルの水を循環させて利用する。1度の給水で100~300回使え、動力源に太陽光発電パネルと蓄電池を搭載していることから、断水・停電地域での使用が可能だ。

珠洲市役所敷地内に設置。自己処理型で、断水・停電地域でも使用できる(写真:カンバーランド・ジャパン)

同社は2018年の西日本豪雨や北海道胆振東部地震、翌19年の令和元年東日本台風でも、仮設住宅用にトレーラーハウスを供給するなどして被災地の支援活動を行ってきた。今回も発災直後から、過去にトレーラーハウスの納入実績がある珠洲市への訪問を検討。4日にはボランティア団体などとともに同市へ入り、物資支援を行った。

その行程のなかで珠洲市の泉谷満寿裕市長や災害対策本部と情報交換し、いま何が必要かを協議。5日に地元の長野へ帰った後、翌6日に珠洲市から正式な災害支援要請を受けると、7日夕方には移動式水洗トイレと給水車、工事用車両を手配して再び長野を出発。翌8日に現地に到着し、同日午後に珠洲市役所敷地内への設置を完了した。

設置後のメンテナンスも継続してフォローする(写真:カンバーランド・ジャパン)

「最初に使っていただいた被災者の方々から『水が流れるのがうれしい』と笑顔をいただいた。水洗トイレなら衛生面でも安心できる」と原田英世社長。メンテナンスについても、同社と、同社とともに移動式トイレの製造を手がける福岡市のニシム電子工業、珠洲市の3者が継続して面倒をみる。

同社はトレーラーハウスの団体や防災団体、内閣府や長野県の災害対策担当部局などとも連携。被災地で集めた被害の状況や行政・住民からの要望を、整理して伝えている。「現地はとにかく人手が足りず、情報の収集・共有がままならない。円滑な支援を行うため、さまざまな組織間で情報をつなぐことが重要になっている」と原田社長は話す。