2024/01/12
令和6年能登半島地震

トレーラーハウス製造・販売のカンバーランド・ジャパン(長野県長野市、原田英世社長)は1月7日~8日、避難生活が続く能登半島地震の被災地を支援するため、移動式水洗トイレを石川県珠洲市に輸送、設置した。
トレーラーハウスに洋式便器2基と手洗い、子ども用シートを組み込んだ自己処理型のトイレ。汚れた水をフィルターで分解・浄化しながら、タンクに積んだ約3000リットルの水を循環させて利用する。1度の給水で100~300回使え、動力源に太陽光発電パネルと蓄電池を搭載していることから、断水・停電地域での使用が可能だ。

同社は2018年の西日本豪雨や北海道胆振東部地震、翌19年の令和元年東日本台風でも、仮設住宅用にトレーラーハウスを供給するなどして被災地の支援活動を行ってきた。今回も発災直後から、過去にトレーラーハウスの納入実績がある珠洲市への訪問を検討。4日にはボランティア団体などとともに同市へ入り、物資支援を行った。
その行程のなかで珠洲市の泉谷満寿裕市長や災害対策本部と情報交換し、いま何が必要かを協議。5日に地元の長野へ帰った後、翌6日に珠洲市から正式な災害支援要請を受けると、7日夕方には移動式水洗トイレと給水車、工事用車両を手配して再び長野を出発。翌8日に現地に到着し、同日午後に珠洲市役所敷地内への設置を完了した。

「最初に使っていただいた被災者の方々から『水が流れるのがうれしい』と笑顔をいただいた。水洗トイレなら衛生面でも安心できる」と原田英世社長。メンテナンスについても、同社と、同社とともに移動式トイレの製造を手がける福岡市のニシム電子工業、珠洲市の3者が継続して面倒をみる。
同社はトレーラーハウスの団体や防災団体、内閣府や長野県の災害対策担当部局などとも連携。被災地で集めた被害の状況や行政・住民からの要望を、整理して伝えている。「現地はとにかく人手が足りず、情報の収集・共有がままならない。円滑な支援を行うため、さまざまな組織間で情報をつなぐことが重要になっている」と原田社長は話す。
防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
自社の危機管理の進捗管理表を公開
食品スーパーの西友では、危機管理の進捗を独自に制作したテンプレートで管理している。人事総務本部 リスク・コンプライアンス部リスクマネジメントダイレクターの村上邦彦氏らが中心となってつくったもので、現状の危機管理上の課題に対して、いつまでに誰が何をするのか、どこまで進んだのかが一目で確認できる。
2025/04/24
-
-
常識をくつがえす山火事世界各地で増える森林火災
2025年、日本各地で発生した大規模な山火事は、これまでの常識をくつがえした。山火事に詳しい日本大学の串田圭司教授は「かつてないほどの面積が燃え、被害が拡大した」と語る。なぜ、山火事は広がったのだろうか。
2025/04/23
-
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/04/22
-
帰宅困難者へ寄り添い安心を提供する
BCPを「非常時だけの取り組み」ととらえると、対策もコストも必要最小限になりがち。しかし「企業価値向上の取り組み」ととらえると、可能性は大きく広がります。西武鉄道は2025年度、災害直後に帰宅困難者・滞留者に駅のスペースを開放。立ち寄りサービスや一時待機場所を提供する「駅まちレジリエンス」プロジェクトを本格化します。
2025/04/21
-
-
大阪・関西万博 多難なスタート会場外のリスクにも注視
4月13日、大阪・関西万博が開幕した。約14万1000人が訪れた初日は、通信障害により入場チケットであるQRコード表示に手間取り、入場のために長蛇の列が続いた。インドなど5カ国のパビリオンは工事の遅れで未完成のまま。雨にも見舞われる、多難なスタートとなった。東京オリンピックに続くこの大規模イベントは、開催期間が半年間にもおよぶ。大阪・関西万博のリスクについて、テロ対策や危機管理が専門の板橋功氏に聞いた。
2025/04/15
-
BCMSで社会的供給責任を果たせる体制づくり能登半島地震を機に見直し図り新規訓練を導入
日本精工(東京都品川区、市井明俊代表執行役社長・CEO)は、2024年元日に発生した能登半島地震で、直接的な被害を受けたわけではない。しかし、増加した製品ニーズに応え、社会的供給責任を果たした。また、被害がなくとも明らかになった課題を直視し、対策を進めている。
2025/04/15
-
-
生コン・アスファルト工場の早期再稼働を支援
能登半島地震では、初動や支援における道路の重要性が再認識されました。寸断箇所の啓開にあたる建設業者の尽力はもちろんですが、その後の応急復旧には補修資材が欠かせません。大手プラントメーカーの日工は2025年度、取引先の生コン・アスファルト工場が資材供給を継続するための支援強化に乗り出します。
2025/04/14
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方