金融庁は26日、損害保険大手4社が企業向けの共同保険の入札で事前に価格調整していた問題で、4社に対し保険業法に基づく業務改善命令を出した。独禁法の趣旨に照らして不適切な行為は、過去7年間に、4社の合計で企業や自治体など576の取引先を対象に行われていた。問題行為が広範囲で反復・継続していたとして、再発防止の徹底や経営責任の所在の明確化を求めた。
 改善命令を受けたのは東京海上日動火災保険、損害保険ジャパン、三井住友海上火災保険、あいおいニッセイ同和損害保険。大手損保が一斉に処分を受けるのは、保険金の不払いが問題となった2007年以来、約16年ぶりとなる。
 企業向け共同保険の価格調整は東急グループ向けなどで発覚。各社の担当者がシェアや保険料の維持などを狙い事前に価格情報を交換するなどの行為が慣行となっていた。企業側の保険代理店が調整を打診したケースも一定数確認された。
 こうした行為を、違法・不適切と認識していたケースは33%。67%はそもそも不適切との認識がなく、独禁法に関する教育が不十分だった。
 金融庁は問題の背景の一つとして、損保各社が顧客企業と良好な関係を保つため株式を持つ政策保有株や、保険契約と無関係な営業協力の存在があったとも指摘。損保各社に適正な競争となるよう環境整備を検討するよう求めた。同庁は今後、損保の取引慣行などの問題を議論する見通しだ。
 損保各社は処分を受け、「再発防止と信頼回復に取り組む」などとコメントした。この問題では、公正取引委員会も今月、独禁法違反の疑いで4社に対する立ち入り検査に入った。 
〔写真説明〕金融庁=東京都千代田区

(ニュース提供元:時事通信社)