寒気の影響で日本海側を中心に大雪となる中、製品評価技術基盤機構(NITE)は、除雪機による事故が相次いでいるとして「油断や過信は命取り。正しい使い方を心掛けて」と注意を呼び掛けている。
 NITEによると、回転する金属刃で雪を砕く手押し式除雪機の事故は、2022年度までの10年間で38件発生し、25人が死亡した。直近の3年間では21件、13人を占める。近年は降雪日数が減る一方、1日当たりの積雪量が多い傾向にあることなどが要因とみられる。
 38件を都道府県別で見ると、新潟が11件(死亡8人)で最も多く、北海道7件(同4人)、長野6件(同3人)と続いた。年代別では60代以上が8割を占めた。
 04年度以降に出荷された除雪機には、ハンドルとクラッチレバーを一緒に握らなければ動かない安全機能が備わっている。事故の8割はこうした機能を無効化するなどの誤使用や、不注意が原因とみられる。21年1月には広島県で、大型の洗濯挟みでハンドルとレバーを固定し、転倒した際に除雪機の動きが止まらず下敷きとなった死亡事故が発生した。
 新潟県では同1月、除雪機の周囲で遊んでいた男児(9)が回転部に巻き込まれて死亡。北海道では23年1月、屋内で作業中の80代男性が一酸化炭素中毒で死亡した。いずれもエンジンをかけたままにしていたことが原因とみられる。
 NITEは注意点として▽安全機能のレバーを固定しない▽エンジンをかけたまま離れない▽周囲に人がいないか確認する▽雪詰まりの除去や屋内作業時はエンジンを切る―などを挙げる。担当者は「使い方に慣れると『ちょっとだけなら大丈夫』と油断が生まれるが、正しく利用してほしい」と話した。 
〔写真説明〕除雪機に巻き込まれる事故の再現実験(製品評価技術基盤機構提供)

(ニュース提供元:時事通信社)