29日午前10時20分ごろ、東京都港区虎ノ門の20階建てビルの15階フロアにある原子力セキュリティー会社「日本原子力防護システム」の社員から「ナイフを持った男がガソリンをまいて火を付けた」と110番があった。社員は避難し、けが人はいなかったという。駆け付けた警視庁の警察官が現場でナイフを所持している男を発見し、銃刀法違反容疑で現行犯逮捕した。
 警視庁赤坂署によると、男は静岡県藤枝市志太の同社元社員、増田希莉斗容疑者(23)。容疑を認めており、同署が動機や侵入経路について捜査している。
 逮捕容疑は29日午前10時半ごろ、虎ノ門のビル内で、刃渡り約50センチのなたのような刃物を所持した疑い。
 増田容疑者はなたのようなものや小型ナイフなど刃物計3本を所持。15階のエレベーターホールにはポリタンク1個と灯油のようなものがまかれた跡もあった。
 同社などによると、ホールの床が焦げたものの、オフィス内に男は立ち入っておらず、火もすぐ消し止められたという。
 増田容疑者は2019年4月に入社し、21年3月に退社した。原発の警備員だったが、退社前に「勤務がつらい」と話していたという。
 同社は1977年に設立された。原子力関連施設に警備員を常駐させているほか、不法侵入を未然に防ぐ検知システムなどを開発している。 
〔写真説明〕男が放火したとみられる原子力セキュリティー会社が入居するビル=29日正午すぎ、東京都港区虎ノ門

(ニュース提供元:時事通信社)