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BCMの専門家や実務者による非営利団体であるBCI(注1)は、毎年3月ごろに「Horizon Scan Report」という調査報告書を公開している。Horizon Scanとは、中長期的に将来起こり得る変化や事象を、系統的な調査によって探し出そうとする手法であり(注2)、BCIでは会員を主な対象として毎年「Horizon Scan Survey」というアンケート調査を実施し、その結果を分析して「Horizon Scan Report」にまとめている。

BCIではこのような調査を2011年から毎年実施しており、本連載でも2017年版から毎回紹介させていただいているが(注3)、今年も例によって2022年版が公開されたので、本稿ではこちらを紹介させていただく。

本報告書は下記URLにアクセスして、氏名やメールアドレスなどを登録すれば、無償でダウンロードできる。
https://www.thebci.org/resource/bci-horizon-scan-report-2022.html
(PDF 68ページ/約5.3MB)


図1は本調査の回答者が、過去12カ月間に影響を受けたリスクや脅威の評価結果を、縦軸に影響の大きさ(Impact)、横軸に発生頻度(Frequency)をとって整理したものである。「業務上でない疾病」(Non-occupational disease)が右上に突出しているのは、もちろん新型コロナウイルスによるパンデミックの影響である。

画像を拡大 図1.  過去12ヶ月間に影響を受けたリスクや脅威の評価結果 (出典:BCI / Horizon Scan Report 2022)

前回の2021年版でも「業務上でない疾病」が大きく右上に突出していたが、このときはグラフ全体が縦方向に引き延ばされて縦軸の最大値が3.3まで広がっていた。今回のグラフは最大値が2.6となっており、2020年版に近い程度まで戻っている。したがって、パンデミックの影響は依然として大きいものの、2021年版が発表された当時に比べれば、ある程度は沈静化してきたと見ることができる。今回の報告書単体だけでなく複数年の調査結果を比べれば、このような変化にも気づくことができる。