米国司法省(写真:Shutterstock)

コンプライアンスは、これまでも盛んに議論されているテーマで、決して新しいものではない。すでに組織はコンプライアンスを実行できない体制を組んでいることは稀であろうし、仮にコンプライアンス違反を犯すようなことがあったとしても、迅速にそれに対応する体制は十分に組んでいるものと思われる。コンプライアンス・リスクへの事前対策、そして事後対応は相当程度に整えられていると考えられる。

こうした状況を受け、米国司法省は2020年『コーポレート・コンプライアンス・プロセス評価』の指導内容を変更した。コンプライアンス・リスク管理に対して、さらにハードルを上げたのである。この変更されたガイドラインがどのような考え方に基づいているのか、その故に、組織はどのように対応していくべきなのかについて、RIMSの会員誌では整理されている(https://rims-japan.jp/202110014566/)。コンプライアンス・リスクでの新しい動向を知る上でも、これを理解することは重要であると思われる。

学習する組織を創るプログラムとは

司法省は、コンプライアンス・リスクは起こりうるものであり、それを完全に防ぐことは不可能であると考える。むしろ重要なことは、そうした事態が生じたときにはその失敗から学び、より堅固なリスク管理へと進化できる、学習する組織を創るプログラムを設計・実行することである。