前編のおさらい
台風や豪雨の時、河川の様子が分かるライブカメラの画像を確認し対応の判断根拠として利用されている方も多いと思います。そうした画像をどう評価するかは実は簡単ではなく、川の特性を知っておく必要があることや、映像で映らない場所にも留意する必要があることなどを前編ではポイントとして取り上げました。
▼河川のライブカメラを見る時のポイント(前編)
https://www.risktaisaku.com/articles/-/58409
後編では、時間軸の視点を忘れないこと、そして、雨の様子も合わせて見ることの2点について紹介していきます。これらも見落とされがちな観点であるのでぜひ理解しておいてください。では早速見ていきましょう。
ポイント4. 時間軸の視点を忘れないこと
ライブカメラは「今何が起こっているのか」を把握できる便利なツールですが、現在の状況だけに頼って判断しようとすると問題を引き起こしかねません。特に災害の展開が速い場合には起きたことを確認してから動くのでは対応が後手に回ることがあります。このため、ライブカメラを使う時には川の水がどう増えてきたのか(過去)、今の状況(現在)、この先見込まれる水位(未来)という時間軸的な視点を常に意識するようにしましょう。
過去から現在にかけての状況の把握は水位のデータが頼りになります。また、ライブカメラの中には、時間ごとの水位の変化を確認できるものもあります。例えば東京都港区を流れる古川に設置されたライブカメラの場合は、下の図のように「60分前」「30分前」「5分前」などといった過去の状況を表示できる機能が付いています。過去の映像と現在を見比べれば状況悪化のスピードが推測でき、この先の判断にも利用することが可能なため、こうした機能が付いている場合は積極的に利用するようにしましょう。
目先の時間帯については、水位は上がるのか・下がるのか・横ばいか、上がるならどこまで到達しそうか、いつ頃危険になりそうかなどの情報が重要です。ライブカメラではそうした情報は得られないため、水位の予測に関する情報も一緒に使っていきましょう。水位に関する予測情報は河川によって見るべき情報源が異なってくるので、図としてまとめました。
中小河川の水位の見込みを知るには、気象庁が発表する「洪水キキクル(危険度分布)」を利用します。発表される色が上位の色(現在は黄色→赤色→薄い紫色→濃い紫色という順)に変わっていくのであれば水位がこの先も上がっていく可能性があることを示します。大河川の水位は、河川管理者と気象庁が合同で発表する指定河川洪水予報を見ていきましょう。この情報を使って3時間もしくは6時間先までの水位の予測を確認します。
▼気象庁の洪水キキクル(危険度分布)
https://www.jma.go.jp/bosai/risk/#elements:flood
▼気象庁の指定河川洪水予報
https://www.jma.go.jp/bosai/flood/
実際に災害が迫っている時には、ライブカメラのみを見続けないように心がけてください。過去からの水位変化を示す情報、この先の水位を示す情報などを含めて、過去・現在・未来の時間軸に沿って情報を集めて判断するようにしていくことが重要です。
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