感染症時の勤怠管理ルール
新たな感染症への準備事項②(外部リスク)
株式会社フォーサイツコンサルティング/
執行役員
五十嵐 雅祥
五十嵐 雅祥
(一財)レジリエンス協会幹事。1968年生まれ。外資系投資銀行、保険会社勤務を経て投資ファンド運営会社に参画。国内中堅中小製造業に特化した投資ファンドでのファンドマネジャーとしてM&A業務を手掛ける。2009年より現職。「企業価値を高めるためのリスクマネジメント」のアプローチでコンプライアンス、BCP、内部統制、安全労働衛生、事故防止等のコンサルティングに従事。企業研修をはじめ全国中小企業団体中央会、商工会議所、中小企業大学校等での講師歴多数。
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前回に続いて、レジリエンス協会の演習研究会が作成した新型感染症向け対応計画書について解説していきます。計画書の中に、「新型コロナウイルス感染症対策に伴う勤怠の取り扱い」というものがあります。これは、ある企業が今回の新型コロナ対応で新たに策定した勤怠管理ルールを参考にして、より多くの一般的な企業で使用できるように感染症時の勤怠管理ルールを取りまとめた資料です。
「対象者」「ケース」「症状・状況」「出社可否」「在宅勤務可否」「雇用区分」「勤怠の取り扱い」「就業規則の適用例」と項目が分かれていて、例えば、
【ケース1】
本人が罹患(りかん)した場合には、出社も在宅勤務も「不可」となり(雇用形態が正社員、または契約社員の場合)、その場合の勤怠の取り扱いは「病欠」。
【ケース2】
本人に体調不良はないものの罹患の疑いがあり、PCR検査を受診中で検査結果判明前の場合は、出社は「不可」であるが、在宅勤務は「可能」。その場合の勤怠の取り扱いは「在宅勤務(出勤扱い)」。または、在宅勤務を会社の指示により「不可」とした場合の勤怠の取り扱いは「所定労働時間を勤務したものとみなす」。
【ケース3】
同居人(家族)に罹患の疑いがあるが特に体調不良もなく、現在同居人がPCR検査を受診中で検査結果判明前の場合には、出社も在宅勤務も「可能」。
など、今回のコロナ禍において置かれるであろう状況をほぼ網羅しています。
項目の一番右に「就業規則の適用例」があり、「傷病欠勤」「特別休暇」などいくつかの対応か並んでいるものは、その中から自社の就業規則での取決めにのっとって勤怠状況を選択するものになります。
もちろんこの資料は「正解」を表しているものではなく、あくまで参考であり、各社が自社のルールで規定をすればいいのですが、多くの企業から「大変参考になる」といわれる資料です。
一度感染した社員をいつまでも病原菌扱いにして出社不可としたり、本人や家族に一時的な発熱症状があった社員の出社の際に「検査もしないで出社するなんて……」という差別や偏見をなくすためにも、このような感染時の勤怠ルールを定めておくことはとても重要です。
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