東京オリンピック・パラリンピック大会が今週、いよいよ開幕する。無観客での異例の開催となるが、それでも市中では人流の増加により、今以上に新型コロナウイルスの感染が拡大することや、組織を狙ったサイバー攻撃が増加することなどへの懸念も高まる。

リスク対策.comでは、2018年、2019年と、東京オリンピック・パラリンピック大会に向け企業がどのようなリスクを重視しているかなどについてアンケート調査を実施してきたが、これらをもとに、今大会期間中やその前後において、組織が気を付けるべきリスクと対策を挙げてみた。

画像を拡大 2018年と2019年時点で企業が五輪に向け対策が必要と感じたリスク上位10
画像を拡大 2019年時点で企業が対策が必要と感じたすべてのリスクと順位(5点満点で評価)

まずは、2019年時点で、各組織がどのようなリスクを懸念していたか、から振り返ってみたい。2018年、2019年のアンケート調査はニュートン・コンサルティング株式会社と共同でそれぞれ実施した。

2019年調査で組織が特別に対策を講じる必要があると考えていたリスクのトップ10は、「物流遅延(交通渋滞や交通規制)」「従業員の出社遅延」「サイバー攻撃」「首都直下地震」「風水害」「混雑による群衆事故」「感染症」「交通機関のチケットが取りにくくなる」「ネット回線の速度低下や途絶」「テロ」。

新型コロナで無観客になったことから、そのまま現在に当てはめて参考にするには無理があるが、それでもサイバー攻撃などは、逆に発生確率が大きくなっていることが想定される。多くの人が会場ではなく自宅からテレビやインターネットで大会の様子を視聴するため、ネット回線の速度低下や途絶などもリスクは増大していると考えられる。さらに、感染症についてはすでに蔓延期にあるものの、人流の増大で再び、あるいはさらに感染拡大が懸念される。また、猛暑に伴い電力使用量が大幅に伸び、そこに在宅勤務者が家でエアコンなどを使うことを考えると、2019年調査時のトップ10には入らなかった停電のリスクが入る可能性もある。

以下は、これらをもとに、リスク対策.comが独自の視点で注意が必要と思う10のリスクと、特に組織のが注意すべき対策をまとめてみた。

 

■サイバー攻撃

五輪開催に向け、サイバー攻撃が増加することが懸念されています。個人のPCやスマフォが狙われるケースもありますので、不要なメールなどを開かないように注意が必要です。

【対策】
・従業員に対する注意喚起
・不要なメールは開かない
・知り合いからのメールでも、添付ファイルを開いたり、URLをクリックする際は十分注意
・怪しいサイトへはアクセスしない(特に五輪関連の偽装サイトなど)
・SNSでアカウントの乗っ取りなどに注意(パスワードやメールアドレスは絶対に記入しない)
・組織から許可されていないWiFiや怪しいWiFiスポットに不用意に接続しない
・OSを最新の状態にする

【参考サイト】
https://www.keishicho.metro.tokyo.jp/kurashi/cyber/index.html